ライフ

ペットへの虐待・ネグレクト・遺棄は犯罪 目撃したら通報を

動物虐待を目撃した際の対処法は?(Ph:Thinkstock/Getty Images)

 飼っていた猫を虐待したうえに11匹の死骸を公園に埋めたとして、動物愛護法違反などの疑いで神奈川県相模原市の無職女性が逮捕された。なんとも痛ましい事件だが、動物虐待は決して他人事ではない。栃木県の主婦からがこんなお悩みが届いた。

「近所に、毛はボサボサで、体はガリガリの犬がいます。明らかにきちんと飼育されていません。かわいそうなので助けたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」(栃木県・なっち・43才・主婦)

 ペット法学会理事でペットに関する事件・トラブルなども取り扱う弁護士の杉村亜紀子さんが、動物の虐待を目撃した際にするべきことを教えてくれた。

 * * *
 ペットに対する虐待は犯罪です。ペットを殺したり、傷つけた者には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。

 外的な傷だけでなく、充分な食事を与えなかったり、病気やけがをしたのに病院へ連れていかない“ネグレクト”、排泄物だらけの施設で飼育している、飼えなくなったからとペットを遺棄したなどの場合、いずれも100万円以下の罰金となります。

◆虐待を目撃したら警察や保健所などに連絡を

 動物への虐待を目撃したら、警察へ通報してください。ただし、警察は虐待の現場を押さえられなければ、動けません。飼い主が「虐待ではなく、しつけだ」と主張した場合、どこまでがしつけでどこからが虐待か、明確な基準がないので、警察が動きにくいという現実があります。ですから、警察以外に、自治体の保健所、動物愛護センター、動物愛護担当部署にも連絡するといいでしょう。

 自治体は警察のように飼い主を逮捕することはできませんが、都道府県知事は、多頭飼育が原因の衰弱などの場合、飼い主に対して、飼育方法を改善するように、勧告や命令を出せます。

 また、虐待かどうか判断が難しい場合は、動物愛護団体へ相談してみるのもいいでしょう。状況によっては動物愛護団体が、警察に告発してくれたり、保護してくれることもあります。

 虐待では…と不安に感じたらすぐ、手遅れになる前にいずれかの機関に一報を入れることが大切です。

◆虐待の証拠を写真や映像で残しておく

 どこに相談する場合にも、写真・ビデオ、録音など虐待を証明する客観的証拠があると、相談先が動きやすくなります。また、ペットが虐待されている事実だけでなく、不衛生な状態により悪臭や虫が発生している、鳴き声により周辺の生活環境が損なわれているなど、周辺の住民が迷惑を被っている場合には、それを説明するとよいでしょう。

 このような場合にも、都道府県知事は勧告や命令を出せます。具体的に何が起こっているのか、できるだけ詳細に伝えるようにしましょう。

※女性セブン2017年6月22日号

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト