それでも、みなさんに導かれ早19年。経験というのは、あのビカビカに光るピンボールゲームのように、頭を打って得点を挙げるようだ。打つ度に人格形成(修正?)されているよう。そして獲得した点数という武器を持って世間を歩いている。朝の番組でも私は気付けば毎朝2時間たくさんの得点をキコーン! キコーン! っといただいている。
自分の欠点に気付くのだ。言葉足らずや、自分の知識範囲を知り、イヤというほど自分を知る。時にはその一言が人様のご迷惑にもなりうるのだ。自己嫌悪のあまりイメージとは真逆のネガティヴな私が、人の行き交う赤坂の昼を歩く事もある。
大きな発見は、私はいつも凜としてナンボ、前向きでナンボ、クールでナンボ…みたいな、歩くキャリアウーマン然としていなければいけないのだと、人が思い描くイメージを結局、普段も自ら無意識に演じていたということ。そんな堅苦しい枠から本来の人格がムギュムギュと分厚い皮を押し、出てきはじめた。
生放送だからわかる事。本当の自分を本番で知る事は多い。“経験は苦い力”――正直、楽に点は取れない。
役者の私が役者から遠ざかってしまった!? と思っていたら、役者の頃のどんな朝より自分を知る朝を過ごしている。
頭打ってナンボ。さぁここからどんな事をして行きましょうか(生きましょうか)。そんな予感に胸を膨らませて、打った頭をさすっております。
撮影■渡辺達生
※女性セブン2017年6月22日号