──その禁じ手が今や政治闘争の武器になっている。
小沢:まさに政治の禁じ手です。安倍政権は今までの自民党政権とはまったく異質。かつての自民党のリーダーは皆、権力を自分の地位保全のために行使してはならないという良識を持っていた。たとえばロッキード事件の時、田中角栄先生が本当に捜査を潰す気であれば、子飼いの者を法務大臣にして検察を事実上指揮すればよかったし、疑惑を報じるマスコミにも「事実ではないことを報じたら放送免許を取り上げる」と安倍政権がやっているように締め上げることもできたわけです。今の政権は現実に総務省がテレビ局に対し、そうやって脅しています。
しかし、田中先生には「権力を濫用してはならない」という意識があった。だから捕まった。今はそういうことを平気で、積極的にやってしまうという感覚の人がトップにいる。それを取り巻いているのも似たような考え方の人ばかり。
権力を握って、その権力を濫用したら、何でもできる。そして、日本人は権力に弱いから、なんだかんだ言っても黙ってしまう。
──民主党政権が、検察によるあなたへの捜査を止めなかったのも、その良識だったのか?
小沢:いや、それは違う。僕の事件は冤罪をでっち上げての権力による国策捜査だったわけだから。しかし一部の人は小沢はいないほうがいいと思ったかもね。むしろ、(捜査を)やれ、やれって(苦笑)。