──それは楽観的すぎないか。有権者には政権交代の興奮よりも、民主党政権への失望が強く刻みつけられている。安倍首相の政治手法が巧妙なのは、国民に野党への期待を持たせない空気づくりに成功したことだ。森喜朗・元首相がかつて猛批判を浴びた「無党派層は寝ていてくれればいい」という状態になった。
小沢:そう、確かに国民を寝かせている。民主党が国民を落胆させたことは間違いない。けれども、だからといって自民党に支持が移ったわけではない。有権者が投票に行かなくなったにすぎない。危険を察知している国民は“このままではいけない”という微震を起こしている。その揺れを野党が受け止めなくてはならないと思う。
──「微弱な地震」が続く状況こそ、安倍首相が作り上げる「空気」ではないか。微弱が永遠に続くだけなら政権は怖くない。
小沢:けれども、それはいずれ大きな爆発になる。何も起きないということはない。期待も込めてだけれども。微震をコントロールするなんてことは誰にもできないんだから。
※週刊ポスト2017年6月23日号