●候補案を厳選し「元号懇」に提示
専門家から寄せられた新元号案は、官房長官が内閣法制局長官の意見を聞くことでいくつかの最終候補案に絞り込まれる。その後、日本新聞協会会長、NHK会長、国立大学協会会長らからなる「元号に関する懇談会(元号懇)」に提出して意見を求める。
「平成の時、審議中のメンバーは“記者に捕まって機密が漏れてはいけない”との理由で、トイレに行くことも許されない厳戒態勢だった」(鈴木氏)
●総理大臣が全閣僚会議を開いて政令を決定する
元号懇が終わると、総理大臣が全閣僚会議を開いて意見を募る。その後、臨時閣議で元号を定める政令を決定する。
昭和天皇が崩御する1か月前、当時の竹下登首相が「元号案はすでに封筒に入っている」と発言したと報じられている。しかし、その段階ではひとつには絞られていなかった。
「昭和天皇が崩御した1月7日の昼過ぎから元号懇が開催されました。その席で、私から委員の皆さんに『平成』『正化(せいか)』『修文(しゅうぶん)』の3案を提示し、出典と意味を説明したところ、政府第一案である『平成』が支持された。その後の全閣僚会議でも意見が一致し、元号を『平成』に改める政令を決定しました」(的場氏)
その後、天皇に上奏され、当時、官房長官だった小渕恵三氏が発表した。