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2017.06.25 16:00  週刊ポスト

【書評】過去を塗り替え蓋をしている女の黒々とした心の闇

 里佳にも増してカジマナに激迫していく伶子の狂気めいた情動が物語を複層化している。結婚詐欺殺人を題材にしながら、数々の女性同士の関係が抜群におもしろく描けているのも、柚木麻子ならではだ。

 複雑な物語の中で大きなキーとなるのは、「セルフネグレクト」だろう。カジマナは三人の男に「手を下していない」と里佳は直観する。それでも、彼女に殺されたことに変わりはない、と。胃腸の弱い方は少しずつ読んでください。カジマナの闇はどんなに照らしてもこってり黒々としている。

※週刊ポスト2017年6月30日号

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