今年3月、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学の研究者が科学専門誌に発表した研究によれば、生命維持装置を取り除かれた4人の末期患者の心拍と脳波を測定したところ、そのうち1人は心臓と血流が停止した後も10分間にわたって脳波が観測された。緩和ケアに携わる東海大学健康科学部の渡辺俊之・教授が解説する。
「心臓が止まり、脳に血流が行かなくなった後も脳が活動を維持している場合があることを示す興味深い研究結果といえます」
◆遺族は会話にご用心
臨終間際から亡くなる時まで、医師や看護師から「ご家族は声を掛け続けてあげてください」と促されることがある。実はこの言葉には重要な意味があるという。25年にわたり、約250人の患者を看取ってきた「日本看取り士会」の柴田久美子・会長の話。
「看取りの際の『声かけ』には患者の痛みや死への恐怖を和らげる効果があります。亡くなる直前に苦しげな表情を浮かべていた患者さんにご家族が『いままでありがとう』と話しかけると、穏やかな表情になり、そのまま亡くなっていったというケースも見たことがあります。声かけだけでなく、患者さんが好きだった曲を枕元で歌ってあげたりするのも有効です」