6月29日、高級ブランド店が建ち並ぶ東京・銀座4丁目にお目見えしたのは、日本たばこ産業(JT)が満を持して全国拡販に乗り出す加熱式たばこ『プルーム・テック』の専門店だ。昨年3月よりインターネットと福岡市内限定で販売していたが、やはり品薄状態が続き、一時生産をストップしていた。
「プルーム・テックは、たばこ葉を燃やしたり、高温で加熱もしない、JT独自の低温加熱方式により、たばこの嫌なにおいが発生せず、空気の汚れもほとんどありません。また、プルーム・テックのたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)には健康懸念物質はほとんど含まれておらず、紙巻たばこの煙に含まれている量に比べて約99%も低減されています」(JTのEPマーケティング担当者)
銀座店で早くもプルーム・テックを手に入れた30代男性は、「アイコスに比べて“吸った感”は薄いですが、臭いがまったくないので家の中で吸っても家族に文句を言われないかも。形状が細長くてオシャレなので女性の愛好者も増えそう」と話す。
さらに、宮城県で試験販売をしてきた英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の『glo(グロー)』も7月より販売地域を3都府県に広げ、アイコスを追撃する構えだ。
いよいよ三つ巴の本格的な販売合戦が始まろうとしている加熱式たばこ。果たしてアイコスに出遅れたJTとBATはどこまで巻き返し、紙巻きたばこ以外の市場シェアを拡大させることができるか。
「テレビCMや商品広告が厳しく規制されている現状では、先行デバイスに追いつくのは容易ではないと思います。
ただ、喫煙率が低下しているとはいえ、成人人口の約2割がスモーカーであり、その多くはいまだに従来の紙巻きたばこです。その意味では加熱式たばこの潜在需要は相当あるので、たばこ葉アイテムの多様化、販売チャネルの拡大、認知度アップなどに努めれば、需要を拡大することは十分に可能だと思います。
そして、数年内に喫煙者の2割、3割が加熱式たばこに移行していくのではないでしょうか。大きな問題や事故さえ起きなければ、やがては加熱式が主流になっていくと思います」(前出・山田氏)
しかし、問題は国や自治体による「たばこ規制」の行方だ。