前出のように、加熱式たばこは有害物質を極力減らした点で多くのユーザーを獲得しているが、「たばこ葉には変わらずニコチンが含まれているうえ、吐き出した煙も完全に無害とは言い切れない。加熱式たばこの健康への影響は証明されたものではない」(医療関係者)との指摘もある。
現在、“屋内禁煙”の法案化を目指している厚労省も、〈加熱式は受動喫煙による健康被害の知見が十分でないため、たばこの概念に含めたうえで、健康被害が明らかでないものを政令で規制対象から除外可能な形にする〉との見解を示している。
つまり、「疑わしきは罰せず」ではなく、とりあえずすべての加熱式たばこを規制の対象に入れた後に、徐々に外していくという“奇妙な方針”だ。
「従来の紙巻きたばこは『受動喫煙による健康被害が明らかだから規制する』という立場を取っており、明らかに矛盾しています。本来は健康被害が明確に証明されたものについてのみ規制対象にすべきでしょう。
こうした何でも規制ありきの行政が続けば、やがて紙巻きたばこ同様の一方的な健康被害データを持ち出してきて、普及拡大のネックになる可能性はあります」(山田氏)
いずれにせよ、新しい加熱式たばこの爆発的人気によって、これまでの「喫煙文化」が一大変革期を迎えていることは確かだ。