◆保険金で“解決”していた
愛媛県今治市のある産婦人科診療所の院長は2005年から2016年にかけて、3件の死亡事故を含む6件の重大事故を繰り返していた。
2015年2月には地元医師会が院長に事情を聞いたが、「訴訟になった例はない」などの理由で口頭注意しただけ。結果的に、翌年1月に帝王切開を受けた30代女性が出血性ショックで重症となる医療事故を招いてしまった。
「この院長は患者側から損害賠償を請求され、保険金を使って示談していたようです。多くの犠牲者を出して初めて医師の名前も報じられ、保健所の立ち入り検査も行なわれましたが、もっと早くリピーター医師だと公表されていれば、妊婦や患者さんはこの診療所を避け、被害の拡大は防げたはずです。せめて医師会は強制力のある指導・勧告をしてほしかった」(貞友氏)
この病院は今年2月に閉院し、院長は現在、音信不通だという。リピーター医師の存在は、医療業界では以前から指摘されていた。貞友氏が言う。
「日本医師会は1995年、それまでの約20年間で患者側から100万円を超える損害賠償を請求された医療事故を2回起こした医師が391人、3回が82人、4回が22人、5回以上が16人、合計511人いることを会長自ら明らかにしました」