ただ、その情報が警察側に漏れると、上司からひっきりなしに電話がかかってくるようになった。会見前日、弁護士が記者クラブに連絡を入れると、すぐに署に呼び出されて中止するように説得もされました。当時の上司は「本部長室から電話しているから今すぐに来い」と必死の様子でした。

 その日は、署から出ると捜査車両が2台ついてきた。自宅に戻れば、何をされるかわかりません。相手は警察ですから、何かでっちあげられて身柄を拘束されたり、抵抗したところを公務執行妨害で逮捕されたりする可能性もある。尾行を巻いて、ホテルに泊まることにした。

 当日も、会見場である愛媛弁護士会館の周辺に張り込みらしき車が見えたので、近くのパチンコ屋の駐車場に車を停めて開始時間まで身を潜めていた。そのくらい慎重にならないと“やられる”という危機感があった。

 会見直後に拳銃を没収され、4日後には通信指令室に異動させられました。110番通報を受ける部署ですが、仕事は何もなく、与えられたのは机のみ。窓から見える松山城を一日中、眺めていた。みんなが私を避けていて、エレベーターに乗れば、乗り合わせた署員たちが慌てて降りていく。

 異動が不当だとして、2005年2月に県警相手に損害賠償請求訴訟を起こしましたが、勝訴判決が出たのは2008年。定年1年前まで待たなければなりませんでした。

※週刊ポスト2017年8月4日号

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