端的に言うと、「スリリングかつスピーディーな展開と、主要キャラクターは変えず、新たな脚本家を招いて人間ドラマを掘り下げている」ということ。現段階では、“作品の魂”とも言える部分を変えず、その上で作品の幅を広げようとした前向きな姿勢が視聴者に受け入れられているのでしょう。
今後の期待は、やはり過酷な現場での活躍。大規模な災害現場で、トリアージ(重症度や緊急度に応じて治療と搬送の優先順位を決めること)をめぐる厳しい現実や、シビアな決断を迫られるシーンが再び見られるはずです。
また、現時点で前振りがあるものだけでも、“指揮官”白石の采配、藍沢と新海広紀(安藤政信)のトロント行き争い、冴島の妊娠・出産、橘啓輔(椎名桔平)と三井環奈(りょう)の息子の病気、そして「藍沢と白石の恋はあるのか?」など、見どころは目白押し。さらに、緋山やフェローたちの新たな物語も期待できそうです。
先日フジテレビに行ったとき、受付ロビーに高視聴率を知らせる紙が貼られ、関係者には安堵の顔が見られました。重症患者のような苦境が続く同局にとって『コード・ブルー』は、まさに緊急救命のような存在となっているようです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。