裁判所は、浮気相手が氏名不詳であっても、ポイントカードから頻繁なラブホテル利用が認定できれば、不貞行為があったと判断することもあると思います。ポイントカード自体から情報が読み取れないときは、当該ホテルに宿泊データの情報提出を求めると思います。個人情報であっても、裁判所から文書提出命令まで受ければ、拒むと過料の制裁があるので、ホテルも宿泊データを提供する可能性があります。

 裁判所が不貞行為を認定すれば、離婚を認めるだけでなく、奥さんの精神的苦痛に対応した慰謝料の支払いを命じることになります。本当に離婚したくないのであれば、不自然な言い訳をするより反省し、よい夫になると決意し、理解してもらうことが最善だと思います。民法は不貞行為があっても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」は離婚請求を棄却できるとしているからです。

 ラブホテルの領収書などで追及される不用意な夫は、どこにでもいます。浮気を勧めるのではありませんが、脇が甘すぎです。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年8月11日号

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