◆この手法に手厳しい見方も
自民党岐阜県第一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、父・稔氏が亡くなる前年の2014年12月の総選挙前後、同支部から野田氏個人に3回に分けて1200万円が寄附されている。ざっと8000万円にのぼる父親献金の一部が本人の財布に還流された形とも言える。
政治献金を利用した所得税や相続税の“政治的節税”はかつて政界で横行し、安倍首相も新人時代、父が残した政治団体を貯えた資金ごと引き継ぐ方法で相続税を逃れたのではないかと指摘されたことがある。野田氏は党支部から直接、自分に寄附するというより露骨な方法で「父親献金」を還流させた疑いがある。前出の浦野客員教授は手厳しい。
「野田氏のケースは表向きは父からの政治献金で、法的にも適正に処理し、法令違反はないと考えているかもしれない。しかし、税法では『法的実質主義』の原則がある。形式がどうあれ、実質的に贈与と見なされれば適正な課税を行なうべきという考え方です。政治団体は公益法人扱いで国税も介入するのは控えているが、政治献金の形式をとっていても相続税や贈与税対策の意図で行なわれたのであれば、課税されるべきだと考えます」
野田氏の事務所に問い合わせたが、期日までに回答は得られなかった。
総務大臣は政治資金の監視役である。巨額の父親献金を“節税”に使った疑惑を持たれること自体、大臣の資格が厳しく問われるべきなのだ。
※週刊ポスト2017年8月18・25日号