◆2017年/アメリカの金利上昇
これはすでにはじまっていることだ。FRB議長のイエレン氏は金融政策を「正常化」するために2016年末から金利を引き上げ始めた。今年中にあと1回、もしくは2回の利上げが予測されている。
さらに、ECBのドラギ総裁も金融引締めの開始に言及。世界的に金融緩和から引き締めへの潮流が生まれている。世界の主要通貨国で唯一、「異次元」の金融緩和を続けているのは日本だけとなった。
◆2018年/黒田日銀総裁の退任
日本が金融緩和の方針を転換できない理由は、アベノミクスの開始とほぼ同時期に日本銀行がブチ上げた「インフレ目標2%」という公約が、いまだに達成できていないからだ。黒田日銀総裁の面子はつぶれたまま。彼が総裁である限り、意地でも緩和方針は転換しないだろう。黒田総裁の任期は2018年の4月まで。
次の日銀総裁が黒田氏のような財務省出身ではなく、日銀出身のセントラルバンカーであれば、イエレン氏のように「正常化」を指向するはずだ。つまりは金融引締め=利上げだ。金利が上がればリートの資金調達コストが上がる。一般消費者は、住宅ローン金利が上がれば返済能力が弱くなるので購入予算を下げざるを得ない。すなわち、不動産全般への下落圧力となる。
◆2019年/平成30年調査の空家率発表(16.9%へ激増予測)
空家問題への社会の関心は年々高まっている。空家率は5年ごとに行われる総務省の「住宅・土地統計調査」の中で分かる。次回は2018年に行われ、2019年の秋に速報値が発表される。
野村総研などが次回調査の空家率を16.9%と予測している。これに近い数字が出てくれば、大きく報道されるだろう。住宅の余剰感はますます高まる。そして、人々に不動産の先安観が定着すると……それは暴落への強い予兆かもしれない。
◆2020年/東京オリンピック終了
「2020年に東京でオリンピックが開催されることが問題なのではなく、2020年の秋にはオリンピックとパラリンピックが終わることが問題なのだ」と私は主張してきた。
前回の東京オリンピックも閉幕後に強烈な不況がやってきた。今回は前回よりも条件が悪い。経済が成長していないのに人口は減り、社会が高齢化している。
◆2021年/団塊ジュニア世代、50歳台へ
団塊の世代は団塊ジュニアを生み出した。しかし、団塊ジュニアたちは第三のベビーブーマーを生み出せなかった。人口オーナス(※人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する状態)の時代はいよいよ本格化する。
◆2022年/生産緑地法の期限が切れる
「え、こんなところに畑があるの?」──住宅地の真ん中に小規模な畑があることに驚かれた経験なら、誰しもあるはずだ。そういう畑はたいてい固定資産税が農地並みに抑えられた生産緑地に指定されている。それを定めた生産緑地法が2022年に期限切れとなる。そうでなくても、そういう畑で農業を続ける継承者が絶対的に不足している。
実は生産緑地はほとんどが首都圏にある。東京都内だけでもその面積は東京ドームの730個分以上。その何割かでも住宅開発業者に売り渡されてマンションや一戸建てに変わると……住宅市場は恐ろしいばかりの供給過剰となる。
◆2023年/空家率が21%突破 6600万戸超へ
「住宅・土地統計調査」は2023年にも実施される。野村総合研究所の予測によると、2023年の空家率は21.1%。日本国中で5戸に1戸以上が空家となる。何という余剰感だろう。
◆2025年/東京都人口減少の開始 高齢者人口3600万人へ
そして、東京都の人口も2025年に減り始める。それは何よりも東京都自身がそういう予測を立てている。そして2025年は団塊の世代の人々が全員、75歳以上の後期高齢者となる。65歳以上の高齢者は3600万人に達し、全人口に占める割合は3割を超えてしまう。
そういう社会がやってきた時に、不動産市場は今と同じ風景を描いているだろうか?