寝相がいいことは健康面では褒められない。就寝中の寝返りには体の歪みを治す効果があり、まったく寝返りをしないと腰や背中などが一晩中、体重の重みで圧迫される。高齢者は特に、血流が悪くなり腰痛や肩こりが発生する。
「うつ伏せで寝ると口腔が体重で圧迫されて歯並びが変化し、かみ合わせが悪くなる傾向がある」(同前)
また、仰向けも喉の気道を狭くするため睡眠時無呼吸症候群のリスクがある。
「睡眠に最も適するのは『横向き』。気道を確保していびきを防ぎ、質の高い睡眠が得られるため、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβが排出され、認知症の予防に有効との研究もあります」(同前)
横向きで寝るには、抱き枕が効果的だ。
そして、「健康のために」と就寝時に冷房を切る高齢者は多いが、逆効果と梶本医師は指摘する。
「高齢者は暑さや喉の渇きに鈍感で、睡眠中に室温が上がっても気づかず熱中症になりやすい。また熱中症による脳機能の低下が睡眠時無呼吸を引き起こし、夜間の突然死の原因となる。今の時期、65歳以上の方は必ずエアコンをつけて寝てほしい」(同前)
タイマー利用だと、夜中に暑さで目を覚ましてしまい、安眠が確保できない。朝まで「つけっぱなし」が基本だ。
※週刊ポスト2017年8月18・25日号