現役時代に平均3000万円近い年金保険料を国に納めた高齢者たちに、さらに負担させようというのか。
それだけではない。高齢者の定義が75歳以上に引き上げられると、現在65~74歳の全国1752万人の医療費負担が1.5倍にハネ上がりかねない。
年金制度に詳しい「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。
「若返り現象の学会報告がより影響してくるのは医療費です。現行の制度では70歳未満は窓口で払う医療費は3割、74歳までは2割、75歳以上の後期高齢者は原則1割負担となっている。しかし高齢者の定義が75歳以上に引き上げられれば、2割負担だった人は全員3割になり、75歳の後期高齢者に適用されている1割負担も90歳以上の超高齢者だけが対象になる可能性がある」
かつて70歳以上は「老人医療費無料化」制度の対象だったが、平均寿命を超える90歳まで医療費を3割負担させようとしている。
※週刊ポスト2017年9月1日号