品質も「安かろう悪かろう」ではない。今年5月にオープンした東京・渋谷のMEGAドンキの食品売り場には、神戸牛や有機農産物、店内調理のこだわり惣菜などが並ぶ。また、衣料品では「レストレーション」や「アクティブ・ギア」といったドンキのプライベートブランド(PB=自主企画)を展開し、品質向上を売りにしている。

 7月には6万円を切る50インチの4Kテレビを販売。初回出荷台数の3000台がわずか1週間で完売して大きな話題となったが、それもドンキのPB家電だ。

「東芝の『レグザ』に使われている受信システムを採用しているので品質は折り紙付きなのですが、最新モデルのレグザより機能が若干落ちるため、この価格で開発できたのです。

 お客さんにとっては、たとえ型落ちでも4Kテレビの画質が6万円以下で堪能できれば問題ないと思っている人が多いから、ここまで反響があったのでしょう。ドンキはこうした消費者の潜在的なニーズを巧みに汲み取って、他の量販店やメーカーが作らないようなPBで差別化を図っているのです」(前出・月泉氏)

 こうしてGMSやSM、コンビニなどの業態から顧客を奪いながら、いまやグループ店舗数が368店にまで増えたドンキ。「退店予定のGMSから出店要請が引きもきらない」(前出・経済誌記者)との話が出る中、今年5月にはユニー・ファミリーマートホールディングスとの業務提携も発表した。

「アピタやピアゴといったユニーの不採算GMSのドンキ転換や、ファミマのコンビニ網を活かした商品供給や新しい小型店の共同開発など、ドンキにとっては新たなビジネスチャンスも広がっている」(同前)

 今後の課題はアマゾンに代表されるネット通販や、地方を中心に勢力を増すドラッグストアといかに戦っていくかだろう。前出の月泉氏はこんな見方をする。

「そもそもドンキのように1品単価や利益率の低いDS業態は物流コストをかけてまでネット通販に乗り出す意味はありません。そんなことをしなくても、安さを追求すれば、お客さんは自ら店に足を運んでくれます。その点、店舗数を拡大させるメリットは大きいでしょう。

 それでいて、ドンキにはコンビニにもドラッグストアにもないリアル店舗の魅力がある。それは、常に売り場や格安商品が変化する“ワクワクドキドキのエンターテインメント性”を持った店舗であるということ。こうした特徴さえ失われなければ、まだまだ成長できると思います」(月泉氏)

 安くて良いモノを、という消費者の当たり前の購買欲に「楽しみ」をプラスさせて躍進を続けるドン・キホーテ。長引く消費不況でその存在感はさらに高まっていきそうだ。

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