ビジネス

苦戦強いられる流通業界でなぜドン・キホーテだけ堅調なのか

夜型から昼の客層も掴むドン・キホーテ

“驚安の殿堂”をうたうディスカウントストア(DS)、ドン・キホーテ(以下、ドンキ)が好調だ。2017年6月期の連結売上高は、前期比9.1%増の8287億円と1兆円の大台に迫る。また、営業利益も同6.9%増の461億円で、こちらは上場前から含めて何と28期連続の増益を記録。29期連続も確実な勢いだ。

 軒並み総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)の苦戦が伝えられる中、なぜドンキだけ堅調に業績を伸ばすことができるのか。その秘密を探ってみた。

 まず最も大きな要因が、ドンキに追い風が吹き続ける景気と消費者心理だ。

 政府は2013年より金融緩和を続け、物価上昇率2%を目標にしているが、いまだに達成できていない。サラリーマンの賃金も目に見えて上がったという実感に乏しいうえに、年金制度などに対する将来不安も増している。そんな状況で個人消費が上向くはずがない。

「イオンの岡田元也社長が『脱デフレは大いなるイリュージョン』と明言を吐いたように、流通業界もデフレ脱却は夢のまた夢との共通認識を持っている。そのため、生活防衛で財布のヒモを締める消費者に向け、スーパーやコンビニが日用品を一斉に値下げ。またぞろ価格競争に陥っている」(経済誌記者)

 ドンキの独壇場である「徹底した低価格路線」が再評価される時代背景があるというわけだ。

 これまでドンキはメーカーや卸が抱える在庫を不定期で安く買い付ける「スポット品」を利益の源泉にしつつ、現場の店長らに陳列や値付けまで任せる権限移譲を行なってきた。DS業態の長年の経験から培った豊富な商品仕入れ術や“薄利多売”システムは、大規模なチェーンストアでは決して真似できない武器となっている。

 年配の消費者の中には、「ドンキは若者が掘り出し物の安い雑貨などを買う店で、日用品を買う普段使いの店にはちょっと…」とのイメージも根強いが、最近はそうしたブランドカラーも薄らぎつつある。流通コンサルタントの月泉博氏がいう。

「確かにこれまでのドンキは20~30代のシングル族やノーキッズカップルが主力ターゲットでした。〈夜型の時間消費〉〈アミューズメント性〉といったキーワードを満たすバラエティ豊かな商品群や圧縮陳列で支持を集めてきました。

 しかし、2007年より長崎屋を買収してMEGAドン・キホーテという新業態を出店。生鮮を含む食品を手掛けるようになってからは、昼型のファミリーや中高年層を含むオール世代もターゲットになりました。

 安売りの食品や日用品を買いつつ他のフロアを回ってみると、他のGMSのような同質化していない面白い雑貨や衣料、家電なども揃っている。『ドンキって行ってみたら割といいお店ね』という声が全国的に広がっているのです」(月泉氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ(右・Instagramより)
《スクープ》“夢の国のジュンタ”に熱愛発覚! WEST.中間淳太(37)が“激バズダンスお姉さん”と育む真剣交際「“第2の故郷”台湾へも旅行」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト