それを象徴するように、筆者が香港入りする前日の6月28日夜にも、中国の五星紅旗と紫荊(植物の「ハナズオウ」)の花をかたどった香港旗を毎朝掲揚する金紫荊広場で、香港のシンボルになっている紫荊像に民主化運動家6人がよじ登り、一時立てこもった。
習近平やファーストレディの彭麗媛が金紫荊広場で行われる記念行事に出席するとの情報が流れていたことから、民主化指導者らが自らの主張をアピールしようとしたのだった。だが、警察側は消防用のはしご車を導入し、警官隊も像の上部に接近して、力ずくで活動家らを排除。地上の26人の活動家も逮捕されてしまった。このように、1回の示威行動で、32人もの大量の逮捕者が出るのは香港では珍しい。
◆「香港は中国領」
習近平は1日の20周年記念式典で、「中央の権力に対するいかなる挑戦も決して容認しない」と述べ、独立の動きを強くけん制するとともに、「香港を利用した中国本土への破壊活動の浸透は、越えてはならない一線(レッドライン)を越える行為とみなされ、決して容認されない」とも強調。
また、習近平は今回の訪問で香港駐留中国人民解放軍部隊3100人を前に軍用ジープに乗り閲兵式に臨み、その模様はテレビで生中継された。それは、「独立運動などの一線を越せば、軍の出動もありうる」と警告しているようだった。
江沢民や胡錦濤らかつての中国の最高指導者は香港市民を刺激しないよう、香港駐留軍部隊の視察などは公開していなかったが、習近平は逆に「香港は中国領」であることを印象付ける狙いがあるようだ。