これほど深センが飛躍した原動力の一つは“中国版ナスダック”や“チャイネクスト”と呼ばれる深セン証券取引所のベンチャー企業向け市場「創業板」だ。これを上海ではなく深センに置いたことで、ベンチャーキャピタルが深センに根付いたのである。今や深センでは1兆円を超えるベンチャーキャピタルがいくつも生まれ、1週間で500以上の起業案件を処理しているとも言われる。
人材が集まり、企業が集まり、カネが集まるという好循環が生まれているわけだ。
そうした環境の中で、テンセントやファーウェイ、ドローン世界最大手のDJIといった深センに本社を置く企業が急成長し、虎視眈々と世界制覇を狙っている。さらにアメリカのトランプ政権が、専門技術を有する外国人向け「H-1B」ビザの審査を厳格化したため、海外のIT人材はシリコンバレーで働くことが難しくなり、世界の三大最先端IT拠点の残る2か所、すなわち深センとインドに集中するという状況になっている。
※週刊ポスト2017年9月1日号