夏の甲子園は、花咲徳栄高校の優勝で幕を閉じ、スカウトたちの視線は甲子園からカナダで開催されるU-18ワールドカップ(9月1日~9月11日)に移っている。代表のクリーンアップには広陵・中村奨成、早稲田実業・清宮幸太郎、履正社(大阪)の安田尚憲が並ぶと目されている。U-18の最大の特徴は、木製バットが使用されることだ。ある在阪球団のスカウトは「プロ適性を見極める絶好の機会」と話す。
「甲子園のホームランは正直アテにならない。金属バットのおかげで“こすった当たりでスタンド入り”も多かったが、木製バットではそうはいかない。プロで戦力となるかどうかは木製バットへの対応力で決まる」
夏の輝きでは「清宮を食った」という感がある中村だが、ここでも結果が見せられるかが勝負になる。元ヤクルトの名スカウトとして池山隆寛、広澤克実、古田敦也らを発掘した片岡宏雄氏がいう。
「バッティングでは清宮君と中村君は頭抜けており、木製バットへの対応を苦にするレベルにはないでしょう。特に清宮君はタイミングの取り方と選球眼が天才的で、確実にプロで戦力になるレベル。バッターとしての素質は早実OB・王貞治氏の高校時代(当時は投手)より上といってもいい。中村君のスイングスピードは巨人の坂本勇人を彷彿とさせる」
ただし、こと清宮に関しては「初モノへの対応力をチェックしている」と前出・在阪球団スカウトはいう。
「高2の秋、日大三(東京)の左腕・櫻井周斗の切れ味鋭いスライダーに5連続三振を喫したように、“見慣れぬ球筋に弱いのでは”という懸念が清宮にはある。海外の変則投手が先入観なくインコースをガンガン攻めてくれば、思わぬ穴が見つかるかもしれない」
※週刊ポスト2017年9月8日号