読者の関心は、ハブスポットの異様な企業文化に集まるかもしれない。しかし、例えば、ディズニーの社員も、符牒を使い、社員イベントで盛り上がり、自分たちを魔法の王国のキャストだと信じている。問題は、創業者たちが上場益だけに関心を払い、従業員や消費者をないがしろにするところだ。
同じようなことは、世界中で、もちろん日本企業でも行われている。私は以前から不快感を持っていたが、これまで詳細にその手口が語られることはなかった。その意味で、株式上場の闇の部分に光をあてた本書は貴重な存在だ。
※週刊ポスト2017年9月8日号