たくさんの送られてくる資料の中から必要なものを取り出すのは難しい。そこで彼なりの検索方法を考えたわけです。「変人」「奇人」「猟奇事件」とか。使いやすい分類を独自に編み出して、手書きのカードを作っていた。それが大宅壮一文庫の索引のベースになっています。
感心するのは、Googleなど現代の検索エンジンと同じで、三島由紀夫だったら、本人が書いたエッセイなり小説なりも出てくるし、誰かが三島由紀夫を論じた文章も出てくるように分類されていたこと。「本は読むものではなく、引くものだ」というのが持論だった。立ち上げの際、お手伝いをしてくれる人を『週刊新潮』の告知板で募集して、たくさん応募がきたのを覚えています。試験問題を兄や姉と一緒に作成したのもいい思い出です。
■大宅映子(おおや・えいこ):1941年2月23日、東京都生まれ。故・大宅壮一の三女で大宅壮一文庫理事長。評論家として活動し、近編著に『大宅壮一のことば 「一億総白痴化」を予言した男』(KADOKAWA)。
■大宅壮一文庫:【住所】東京都世田谷区八幡山3-10-20 京王線八幡山駅より徒歩8分【開館】10時~18時(閲覧受付17時15分まで、複写受付17時半まで)【休館】日・祝・年末年始など。入館料500円(65歳以上は250円)。◎大宅壮一文庫ノンフィクションフォーラム「フェイクニュース時代のノンフィクション」が9月29日、19時(開場18時半)より開催。会場:紀伊國屋ホール。詳細はhttps://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20170727151840.htmlを参照。
取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2017年9月8日号