芸能

「浪曲は死んだ」から2年、木馬亭には若い女性客が増加

若いファンも増えつつある(撮影:ヤナガワゴーッ!)

「馬鹿は死ななきゃ直らない~」──誰もが一度は聞いたことのある名文句。『清水次郎長伝・石松三十石船』の一節だが、浪曲にはそうした心に残る一節が数多くある。

 浪曲は、浪曲師の節(主人公の心情を表わす歌)と啖呵(台詞)を、曲師が三味線で守り立てて「語る」芸である。明治初期に関東では「浪花節」、関西では「浮かれ節」として寄席の高座に上がるようになった。

 ネタは講談から拝借したものも多く、武芸物、任侠物、義理人情、出世物、ケレン(笑い)など多種多様。明治後期から昭和20年代にかけてレコード、ラジオの隆盛と共に人気を博し、最盛期には3000人を超す浪曲師が活躍、「天下を取った」と浪曲師・玉川奈々福はいう。

 一世を風靡した浪曲師といえば、昭和では『清水次郎長伝』の二代目廣澤虎造であり、平成では国本武春である。国本は、ロックなどの音楽要素を取り入れて浪曲界を盛り上げたが、2015年に55歳で死去。その後「浪曲は死んだ」ともいわれたが、昨今、寄席などで興味を持った若い女性客が、関東唯一の定席・木馬亭(東京・浅草)にも増えつつある。

◆浪曲師と曲師が一つになり聴く者を物語の世界へ運ぶ

「シンプルに語り、三味線と一体化し、お客様のイマジネーションに頼る芸が浪曲です」

 玉川奈々福は浪曲の本質をそう語る。講談との大きな違いは、なんといっても三味線が入ることだ。曲師は譜面がない中、浪曲師の口元を見てバ~ンと打ち込み、音色とリズムで盛り上げていく。ある時は丁々発止やり合い、ある時は一体化して主人公の心情を描く。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン