佐藤:そうです。うまくやれれば、現在の日朝関係だけでなく、北朝鮮による軍事的な緊張状態も緩和できたかもしれません。
片山:北朝鮮問題に劇場型政治、そして小泉政権が推し進めた新自由主義政策による格差の拡大……。5年半の小泉政権下の仕掛けが、十数年後のいまになって、顕在化しているということですね。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
※SAPIO2017年10月号