国際情報

習近平の側近親族の疑惑報じた記者 記事撤回され辞職

情報統制は凄まじい(写真:AFLO)

 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は7月下旬、中国共産党の最高幹部で、習近平国家主席の側近の親族による蓄財疑惑を報じたが、その翌日、「根拠が薄弱だった」などとして、記事を撤回。この措置に抗議して、筆者の著名コラムニストがこのほど、同社を退社することを明らかにした。

 同紙は1903年創刊の香港では最も歴史のある新聞の一つで、論調も中立系だったことから、市民の信頼も高かったが、この騒動で、「香港の新聞はすべて共産党の機関紙になり下がってしまった」との嘆きの声がネット上でみられている。

 このコラムニストは任美貞(シャーリー・ヤム)氏で、香港記者協会副主席を務めている。

 任氏は7月19日付の同紙のコラムで、習主席の最側近の一人で、日本の官房長官に当たる栗戦書・中国共産党中央弁公庁主任の親族による蓄財疑惑を指摘。香港で歴史が古く、もっとも有名なホテルのひとつ、ペニンシュラホテルの親会社の株式を栗氏の娘、栗潜心氏が譲渡を受け、大量に所有していると報じた。

 ところが、同紙は翌20日付で「検証できない内容が含まれていた」と事実上の訂正記事を掲載し謝罪した。そのうえで、任氏のコラムを撤回し、電子版から削除している。任氏はこの措置に対して、周囲に不満を漏らしていた。

 その後、8月下旬、任氏は経済面に「これが私の最後のコラムです」などと前置きをした署名入りのコラムを掲載。任氏は同日、香港駐在の海外メディア関係者らでつくるSNSのグループ上で「私はまもなく退社します。同僚や読者に感謝したい」と表明した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン