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2017.09.17 16:00  NEWSポストセブン

北朝鮮を牽制する米軍の訓練 使い古された手法で効果はない

◆すべてが「牽制」ではない

 冒頭でも触れたように、9月9日に東シナ海で共同訓練を実施した際も、「牽制」と報じられたが、軍事の常識で考えてみれば分かるのだが、北朝鮮軍のレーダーが高性能なものだったとしても、黄海ならともかく、東シナ海上空を飛行する航空機は捕捉できない。

 北朝鮮に関する報道では、少し考えれば誤りと分かることでも、まかり通ってしまっているのは問題だ。他の国に関する報道ではあり得ない事が、北朝鮮については許されている。

 前述した9月9日に共同訓練を行ったB-1Bが、訓練終了後に青森県の米空軍三沢基地へ飛行したことについて、〈途中に朝鮮半島があることから、その上空をB-1Bが通った可能性がある〉〈機動力を示そうとした〉という分析を専門家がテレビで述べている。

 しかし、三沢基地では翌10日に航空祭が開かれていることから、そのための移動であったと考えるのが自然だろう。また、韓国上空を飛行したとしても、民間機が飛行しないルートを超音速で飛行しないかぎり、北朝鮮軍のレーダーではB-1Bと断定できないため、あえて韓国上空を飛行する意味がない。

 そもそも、航続距離が1万キロを超えるB-1Bが、米国本土からならともかく、グアムから東シナ海を経由して三沢へ飛行しただけで、機動力の高さを示すとの分析には難がある。

 このように、マスコミの報道はB-1Bの飛行目的を、すべて「牽制」という言葉を使用して、北朝鮮への圧力という結論で締めくくる傾向がある。

◆「平時」から行われている訓練

 グアムに配備されている爆撃機が北朝鮮を攻撃目標とした訓練を行うことは当然のことで、米朝の緊張状態とは関係なく訓練は行われている。

 最近は東シナ海上空で共同訓練を行う空自戦闘機とB-1Bの写真が公表されている。いかにも稀な訓練であるかのようなイメージがあるが、空域は異なるが共同訓練は毎年行われている。

 共同訓練の代表的なものとして、グアムで毎年2月に行われている、航空自衛隊、米空軍、オーストラリア空軍の共同訓練「コープ・ノース」がある。この訓練には100機以上の空軍機が参加している。

 マスコミはほとんど取り上げていないが、今年はB-1Bと9機編隊を組む写真も公表されている。こうした訓練を普段から行っているからこそ、東シナ海での共同訓練も円滑に行えるのだ。

◆映像による「牽制」に効果はあるのか

 米軍は画像や映像を駆使して圧力をかけることが多い。例えば、米空軍は今年4月13日、嘉手納基地で航空機を滑走路に並べる「エレファント・ウォーク」を行った。

 公表された映像では、滑走路上にHH-60ヘリコプターを先頭に、F-15戦闘機が20機、E-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機が揃って並んでいた。この光景は壮観で、戦力を誇示することができる。

 とはいえ、今年4月は、米国が北朝鮮を先制攻撃するという「4月危機説」が流布されていた時期。もし、報道されていたように米朝関係が一刻を争うような事態になっていたのなら、手間と時間をかけて優雅に「エレファント・ウォーク」を行っている場合ではない。

 このように、米軍が写真や映像を公表しているうちは、事態はそれほど深刻ではないと考えていい。開戦前に部隊の配置や移動状況が公表されることはないからだ。

◆より実戦的な示威飛行も必要

 筆者の経験から言うと、深夜から未明にかけては韓国周辺を飛行する民間機は全くいなくなる。

 このようなタイミングを見計らって、B-1Bと韓国空軍機が編隊を組んで韓国南部から平壌へ向けて飛行し、非武装地帯ギリギリで南へ反転する……というルートで飛行すれば、北朝鮮も米国の意図を明確に理解することができるだろう。

 しかし、深夜にB-1Bが韓国上空を飛行したという報道はない。より実戦に近い行動をとってこそ「牽制」となるはずだが……。

 また、実戦では北朝鮮攻撃に投入されるステルス爆撃機であるB-2を韓国へ派遣しないのは、北朝鮮軍のレーダーに映らないという「弱点」があるためだろう。米空軍のF-22やF-35などのステルス戦闘機をB-1Bの護衛として飛行させないのも、同じ理由と思われる。

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