◆深夜の飛行訓練の必要性
北朝鮮軍は韓国軍の警備が緩む深夜に韓国へ侵攻するといわれている。北朝鮮軍は地上軍の侵攻前に敵の戦力を削いでおく必要があるため、日本や韓国の軍事施設へのミサイル攻撃は夜間に行われる。
米軍の爆撃機や戦闘機による攻撃も夜間に行われる。このため、夜間に実戦に近い訓練を行ってこそ、大きな意味を持つ。情報を公開する必要があるにしても写真撮影は二の次であろう。
航空自衛隊は、国籍不明機が接近した場合に行われるスクランブル(緊急発進)以外は、深夜の飛行は行わない。夜間飛行訓練は21時までに終了する。しかし、実戦を想定するのなら深夜の飛行訓練も必要だろう。韓国空軍は深夜に全ての空軍基地から戦闘機が緊急発進する訓練を行ったことがある。
このような訓練を行うのは当然のことで、演習中でも深夜に訓練を行わない日本が異常なのだ。飛行場周辺の住民に対する騒音対策は必要だが、有事即応体制を維持するのであれば、こうした訓練も必要だろう。
◆使い古された「牽制」の手法
朝鮮半島近海への空母や爆撃機の派遣は、過去に米朝関係が緊張した際にも行われてきた、あまりにも使い古された手法である。
こうした手法が、その時々で果たしてどの程度効果を発揮してきたのかは不明だが、現在も北朝鮮が強硬な態度を取り続けていることは、少なくとも最近の「牽制」には効果がなかったことを意味している。
北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの脅威は時間の経過とともに高まっているが、今度こそ、効果のある「牽制」が行われていることを願いたい。