「私はずっと地元で育って税金も払ってきたのに、なんで外から入ってきた人だけを優遇するの?」(国東市在住の34才シングルマザー)
「車を支給するのはやりすぎだと思います。だったら自分にも1台くださいよ、って感じ」(浜田市在住の31才シングルマザー)
こうした声は各地で噴出しており、自治体の中には、「確かに、不満を感じるかたは多い」と認めるところもあった。
母子家庭世帯に対する国の支援制度は、月4万円の児童手当(子供が18才まで)や医療費助成制度等があるが、各自治体の移住者支援政策に比べると、金銭的な格差は否めない。
一方で、移住する側にも苦労はある。一部の自治体を除き、就労研修期間中の生活費は自己負担で、あらかじめある程度の蓄えが必要になる。また、新しい土地で新しい人間関係を築くのは簡単ではない。自分自身のこともさることながら、わが子が新しい環境になじめるかどうかは大きな問題である。
移住検討者からは、「“優遇制度”を利用していることが周囲に知られると、受け入れてもらえなくなるのではないか…」といった不安の声も聞かれた。
実際、国東市の移住支援を担当する同市の活力創生課地域支援係は「急に移住してもうまくいきません」と話す。
「事前に生活や職場の環境を個別にご案内し、物価や家賃の目安もお伝えし、いったん持ち帰って検討していただきます。何度も足を運び、具体的に生活するイメージができて初めて、移住を選択肢に入れてほしいです」(同係)
一連の支援政策は、まだ始まったばかり。時代を動かす大きな風となるか。
※女性セブン2017年9月28日号