国内

自治体がシングルマザーに優遇制度準備、だが地元民は不満も

働くシングルマザーが全国の企業、自治体で必要とされている(イメージ写真/アフロ)

 現在、ネット上にはシングルマザー専用の就職支援サイトも登場しており、全国の求人情報が簡単にチェックできる。正社員待遇の案件も多数あり、企業がいかにシングルマザーを求めているかの証左といえよう。

 企業だけではなく、昨今は自治体の中にもシングルマザーに熱い視線を送るところが増えている。島根県浜田市では、2015年から定住支援政策の一環として「ひとり親移住支援」を打ち出している。

 高校生以下の子供を持つ市外在住の一人親が、市内へ転入する場合、引っ越し費用30万円を支給し、家賃の2分の1を補助。月額3万円の養育支援費に加え、普通車1台を無償提供。就労支援も行い、研修終了後は就労期間に応じて、2年間で最大100万円が支給されるという至れり尽くせりのサービスである。

 大分県国東市、北海道幌加内町にも同様に、市外から一人親が移住した際に特別優遇を図る制度があり、新潟県は県単位でシングルマザーの移住支援をしている。

 自治体がシングルマザーの移住支援に熱を入れる最大の理由は、過疎化対策だ。日本創成会議が2014年に発表した推算によれば、2040年までに20才から39才女性の数が半減し、人口を維持することができなくなる「消滅可能性都市」が全国に896もあるという。

 浜田市や国東市、幌加内町は、いずれもそのリストに入っており、市外から人間を定住させないと、将来的に自治体そのものが消滅する危機に直面している。

 島根県への移住希望者向けの情報発信や総合相談を行う『公益財団法人ふるさと島根定住財団』代表の樋口和広さんが語る。

「もちろん人口減少は大問題で、その解消策という面は否定できませんが、都会で貧困に喘ぐシングル親子を救いたい、という面もあるんです。家賃や食費も含めて、地方には、生活費を抑える手段がたくさんある。野菜を自分で作るかたもたくさんいますから。

 子育てのためにパートを2つ、3つと掛け持ちして疲弊している母親がいるのであれば、地方に来て、労働を減らしてお子さんと向き合う時間を作るのはどうか、と。一方通行の政策ではなく、“お互いがプラスになること”を最も大切にしています」

◆「地元でずっと税金払ってきたのに、なんで外から来た人優遇するの?」

 とはいえ、自治体によるシングルマザー移住支援は多くの課題も抱えている。最も多く聞こえてくるのが、もともと、その土地で暮らしていたシングルマザーからの不満の声だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン