ライフ

古谷経衡が最果ての抵抗、榎本武揚と蝦夷共和国を歩く

開陽丸館内にて榎本武揚(レプリカ)と作戦会議する筆者。榎本の後ろに控えるのは土方歳三

 幕府の海軍の指揮官となり、戊辰戦争では「開陽丸」を率いて「蝦夷共和国」樹立を宣言した榎本武揚。箱館戦争で敗北後は、助命され、明治政府で逓信大臣や外務大臣などを務めた。西郷隆盛と真逆の評価がされることが多い榎本の「舞台」となった北海道・函館と江差の街を、評論家・古谷経衡氏が歩いた。

 * * *
 幕末の動乱期、江戸幕府軍艦頭であった榎本武揚が、旗艦・開陽丸以下7隻に約2000名の幕兵らを乗せた艦隊を率いて、北海道南部・渡島半島にある現森町鷲ノ木に上陸したのは、1868年(慶応4・明治元年)10月20日のことであった。所謂「箱館戦争」の勃発である。

 一時期疑似民主制を導入して「蝦夷共和国」の建国を宣言した榎本であったが、新政府軍の攻勢に敗れ、箱館五稜郭が落城。その新国家樹立の夢は半年で潰えた。

 日本の最南端、鹿児島を中心とした西南の役での西郷南洲に比するなら、北方での新政府軍への抵抗の首魁は榎本武揚であることはいうまでもない。しかしこの榎本、どうも南洲に比して日本人には受けが良くない。

 榎本の艦隊に同乗して箱館で散った新選組副長の土方歳三は、近年英雄視を通り越して「歴女」の垂涎の的となっている。例えば新選組を題材にした腐女子向け逆ハーレム・アニメ作品『薄桜鬼』では、土方歳三は長髪のヴィジュアル系超絶イケメンとして描かれ、腐女子の電脳を焦がす役回りだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン