「専用の談話スペースなどがない病院では、“隣の見舞客がうるさい”と問題になりがちです。それと、意外にあるのが、『夜中の見舞客』を巡る苦情。実は、一定数の施設が、仕事の都合などで夜遅くにしか来られない家族の見舞いなら、面会時間外でも黙認している。それにより真夜中の話し声が気になって、眠れなくなってしまう人も出てくる」
夜間は「音」に加え「光」も問題になる。たとえば、横になってスマホをいじっても家では誰にも迷惑をかけないので、入院中も周りを気にせずゲームや動画を楽しもうとする人は少なくないが、「カーテン越しに漏れる画面の光の明滅は、隣で寝ていると想像以上に気になる。スマホの光を巡る苦情は最近特に多い」(前出・濱川氏)というのだ。
他にも、「オムツをした患者さんの隣だと、夜間に排泄があった時に看護師が気付くのが遅れると、部屋に臭いがこもってしまう」(同前)といった問題に直面することもあるという。
隣に寝ている相手なので、直接話して解決したくなるが、それは避けたほうがよいという。相手の不興を買えば、かえってトラブルを大きくしてしまうこともある。こじらせると「“病室内でうるさい”という理由で同室の患者に殴りかかってケガをさせ、警察沙汰になったケースもある」(ベテランナース)というのだ。大阪府保険医協会事務局参与・尾内康彦氏がいう。
「とにかく、“告げ口になる”などと気にせず、ナースに相談すること。病院側が“イビキのうるさい人”“トラブルメーカー”などと判断すれば、その患者を別室に移すこともあります。病院側も深刻なトラブルは避けたいですから」
ご近所トラブルでは難しい“相手に引っ越してもらう”という解決策もあるのだ。トラブルの「処方箋」はきちんと知っておきたい。
※週刊ポスト2017年10月6日号