溝口:現場の防犯カメラには、織田代表が乗った車の後ろに黄緑色の服を着た人間がサブマシンガンらしきもの、恐らくイスラエル製の「UZI(ウージー)」を抱える姿が映っていました。本来なら彼が車の前にまわって掃射しなければならなかったはずです。

鈴木:弾が出なかったみたいで、そのまま逃げちゃったんでしょうね。そうしたことから、実行犯らは、身内の神戸山口組によってすでに殺されているのではないかと警察関係者は言っている。抗争事件でヒットマンが身内から殺されるとすれば、これまでなら考えられないことですが。

◆今回痛手を負ったのはどちらか

溝口:私も殺されている可能性はあると思う。山一抗争(1984~1989年)のときには組織犯罪処罰法がなかったので、実行犯が逮捕されたとしても組長の責任まではなかなか辿り着かなかった。しかし、いまでは実行犯から一気にトップの逮捕まで結びつけられてしまう。だからこそ生きていられてはまずいんです。

鈴木:任侠山口組は「返し(報復)」をするでしょうか?

溝口:いや、今回痛手を負ったのは任侠山口組ではなく、むしろ仕掛けた神戸山口組の方です。任侠山口組のトップを殺すのを失敗してしまったわけですから。

 神戸は任侠を潰さなければ存在意義がなくなってしまう。本来、盃を最も大事にする暴力団において、神戸山口組は「上がダメなら出て行っていい」という“造反有理”の考えを初めて打ち立てて設立された。「司忍・六代目組長ならびに弘道会(司組長の出身母体)体制の悪政から逃れる」という大義があったわけですが、織田代表は神戸山口組の井上組長も司組長と変わらぬ悪政だと言って出て行ってしまった。これを許しては神戸山口組の大義が揺らいでしまいます。

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