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東名高速夫婦死亡事故 ネットの「私刑」も問題に

東名死亡事故でネット上の私刑も問題に

 容疑者による妨害運転の末に、夫婦2人が死亡することとなった東名高速夫婦死亡事故。逮捕された石橋和歩容疑者の容疑は過失運転致死傷罪で、その刑罰は「7年以上の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金」というものだ。しかし、石橋容疑者の悪質な運転ゆえに最高20年の有期刑を科す危険運転致死傷罪での逮捕を求める声も多い。しかし、追い越し車線に被害者の車を停車させた石橋容疑者の行為が直接死傷させたかどうかは法的に判断が難しいため、過失運転致死傷罪での逮捕となったと見られている。

 現実と法律との乖離が露呈されたとも言える今回の事件だが、さらにもう一つ、ネット上の人間による「私刑」の問題もあぶり出した。

 石橋和歩容疑者の逮捕後、同じ石橋と名前のつくある会社が「容疑者の父親が経営している」という誤った情報とともに拡散。さらに同乗していたとされる女性のフェイスブックも実名で写真とともにSNS上に晒し上げられたのだ。評論家の呉智英氏が語る。

「厳罰化を求める市民感情の1つの流れでもあるのですが、本質は“共感性”の歪な発露だと思います。もともと人間は、多数ではなく個人に共感するんです。100万人が死んだ戦争よりも、悲痛な事件や事故で亡くなった1人の被害者とその遺族に共感する。“酷すぎる”“犯人を許せない”と。

 人間の感情は100年前から変わりませんが、技術の進歩でSNSが登場し、コミュニケーションツールを個人が持てるようになり、そういう感情を吐き出す場をたやすく用意できる時代になった。こうなると、かつては内輪で話していた会話や、抱えていた感情が、一気に世間に噴出する。ネット上の私刑は、情報化社会における必然的な現象だと思います。フィルターがないことは問題だと思いますが、正直、この風潮を防ぐ術はないでしょうね」

※女性セブン2017年11月9日号

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