その結果、これだけの顔触れが揃いながら、名球会入り(通算2000安打、200勝、250セーブのいずれかを達成)した選手は1人も誕生していない。最も近い位置にいるのが、1865安打の村田と、225セーブの藤川だが、現在のチーム内の立場や役割から考えると、このまま達成できずに終わる可能性も十分に考えられる。
松坂世代と呼ばれるプロ野球選手は合計94名(外国人選手除く)誕生した。しかし今季開幕時点で、現役選手は育成契約を含めても僅か19名。このオフには江草仁貴(広島)、上本達之(西武)などが引退を表明した。来季開幕時にはさらに少なくなるだろう。
今季、チーム内でレギュラーとしての地位を保っているのも、和田、藤川、小谷野の3選手のみ。史上最高の世代と評されたタレントたちは、このまま徐々に波に飲まれていくのか。それとも最後に抗う姿を見せてくれるのか。
カギを握るのは、やはり松坂の存在だろう。「昭和55年会」を結成してオフに様々な活動をしてきたように、彼らの横のつながりは強い。中には「松坂世代」と呼ばれることに抵抗を示す選手もいたが、「仲間に入れてもらえて嬉しいくらい」と語る和田のように、その一員であることを誇りに思う選手が多かった。
高校時代、投手だった村田は松坂と対戦して「投手では一流になれない」と悟り、打者への転向を決心した。松坂は彼らにとって、それほどの象徴的な存在だったのだ。
日本球界に復帰してから、わずか1イニングしかマウンドに立っていない男に、仲間を鼓舞するほどの復活を期待するのは酷なのか。かつて松坂はこう語っている。