藤川球児一覧

【藤川球児】に関するニュースを集めたページです。

阪神では結果は残せなかったが復活の礎を作った野村氏(時事)
岡田彰布が振り返る「ノムさんの江夏」と「オレのJFK」
 2020年2月に惜しまれつつ亡くなった野村克也氏。『週刊ポスト』(2020年12月21日発売号)では8人の教え子たちが、恩師の教えと思い出を語っている。 球界で長く活躍した野村氏は、後進の野球人たちに多くの言葉を伝えてきた。1999年、野村氏が阪神タイガース監督に就任した際、二軍監督だった岡田彰布氏も「ノムさんの言葉」に影響を受けたひとりだ。野村氏は阪神監督の3年間は万年最下位に終わったが、その後、2003年の星野仙一監督、2005年の岡田監督の時代にリーグ優勝を果たしている。野村氏が撒いた種が次の世代で花開いた形だった。岡田氏がその内幕を語った。 * * * ほんま、おかしな関係やったで。一軍と二軍の監督やいうのに、野村さんとはほとんど直接話したことがなかった。二軍の視察には松井優典ヘッドコーチが来られてたんや。3年間、野村さんは1回も鳴尾浜(阪神二軍の本拠地)には顔を出さんかったんちゃうかな。二軍から選手を上げる時も、ヘッドコーチと相談しとった。そやから会うのはシーズンの開幕時、オールスター休みと納会の時ぐらいやった。 野村さんの言葉で一番印象に残ってるのは、「二軍の若い選手はまず短所を直せ」ということ。監督就任後、最初の顔合わせの時に言われたね。二軍選手は長所を伸ばしてやらなアカンと考えとったから、“このオッサンえらいこと言うな”と思ったね。 野村さんの持論は“長所は放っておいても伸びる。指導者がやるべきことは短所を埋めること”というもの。でもオレはそうは思わなかった。短所は直らん。特に今の子どもたちは長所を見つけて伸ばしてやらなあかんと思う。監督の指示やから無視はできんかったが、これは難しかったな。 ただ、野村さんはチーム状態を見て“平均的な選手が多いな”とボヤいていたらしい。その後、俊足の赤星憲広みたいに一芸に秀でている選手をドラフトで指名するようになった。矛盾していると思ったけど、阪神の選手を見て考えが変わったんちゃうかな。 奇妙な関係の3年間やったけど、データを重視していた野村さんのID野球はおおいに参考にさせてもろた。野村さんの考えはコーチやスコアラーにも浸透していたね。 もうひとつ参考にしたのは投手を中心にした守りの野球。南海時代、野村さんは江夏豊さんをクローザーにした。オレも7回以降が重要やと思っていたから、7回、8回、9回を3人の投手に任せることにした。それがジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之のJFKや。二軍監督時代に藤川球児が“もう先発ができない”というので、その頃から温めていた構想でね。現役時代、ラッキーセブンで攻撃陣が活気づくのを感じて、それやったら7回以降を抑えたらええんちゃうかと発想した。野村さんからオレには多くの言葉はなかったが、野球への探求心を身につける刺激を与えてくれたね。
2020.12.28 07:00
NEWSポストセブン
藤川球児250セーブへ「消化試合でも投げるべき?」OBの意見
藤川球児250セーブへ「消化試合でも投げるべき?」OBの意見
 150kmを超える“火の玉ストレート”で通算245セーブをあげた阪神のストッパー・藤川球児(40)が今季限りでの引退を表明した。名球会入りの条件である250セーブまで残り5セーブに迫っているだけに、残り試合での記録達成なるか、注目が集まっている。 しかし、残り5セーブの壁は高い。藤川は引退理由について「1年間、体の準備が整わなければプロとして失格」とコンディション不良を明かし、谷本修・球団副社長が「体が悲鳴を上げている」「手術が必要なレベル」と言及している。 記録達成のために藤川を起用するべきか、チームの勝利を最優先として万全の投手を起用すべきか──賛否両論分かれる難題について、阪神OBに意見を求めた。 1982~84年まで阪神監督を務めた安藤統男氏(81)が語る。「功労者だからね、矢野(燿大)監督もできれば達成させてやりたいと思っているでしょう。ただ、阪神は残り試合で、首位の巨人を追い詰めるチャンスがまだまだある。そこで登板させるかどうかは、本人のコンディション次第です。優勝争いのカギとなる試合でも、矢野監督が藤川を戦力と判断し、本人が投げたいというのなら投げさせればいい。周囲がいくら記録がどうだと言っても、満足に投げられなければダメだからね。 藤川にもプライドがある。消化試合で記録のためだけに投げるというのは、プライドが許さないかも知れない。でも残り2か月で調整して、本人が最後まで投げたいというのなら、悔いの残らないように頑張ってほしい」 元阪神で、藤川と同じ高知商業の33学年先輩にあたる野球評論家・江本孟紀氏(73)も「あくまでも本人の意思」と持論を語った。「250セーブを達成して名球会に入ることに価値を見出すかどうか。それは本人が決めることで、他人がやるべきだとか、やっちゃいけないとか言うことじゃないですよね。だから球児が達成したいと言うなら挑戦させればいい。最後まで優勝争いをしているなら別ですが、消化試合なら希望に沿ってやればいい。これまでにも打率や打点など、記録のための試合をたくさん見てきましたが、シーズン終盤は個人記録のために試合をやっているようなもんですからね。 高知商の先輩としては、球児は記録にこだわりはないと思いますよ。高知商出身者に細かいことにこだわるヤツはいないはずです(笑い)。ただ、もう体にガタがきて、投げられないから引退を発表したのかと思ったら、まだ2か月で戻ってきたいと言うからね。それならシーズンが終わってから発表すればよかった。ボクなら引退と言った時点ですぐに辞めてますから、そこは同じ高知商OBでも考え方が違うところですね」 江本氏は記録を気にせず34歳の若さで引退したことで知られるが、大記録の達成者にも話を聞いた。通算350勝の名球会メンバーで、阪神で投手コーチも務めた米田哲也氏(82)はこう語る。「実は、ボクも最後の1勝は監督にお膳立てしてもらいました。現役時代の最後の1年は近鉄で過ごしたのですが、痛風を発症して休んでいたので、349勝で終わりだと半ば諦めていた。ところが、シーズン最終戦前日に西本幸雄監督から連絡があって、痛み止めの注射を打って球場へ向かったんです。 試合はチームメイトの平野光泰が逆転3ランを打った直後、先発が勝利権限のない状態で降板し、ボクは4回から1イニングと3分の1を投げた。残りは毎イニング先発級の投手に代えることでボクを勝ち投手にしてくれた。相手は古巣の阪急で、試合後に両軍から胴上げをしてもらったのが嬉しかった。 ボクは残り1勝だったからお膳立てしてもらえましたが、球児はあと5セーブもある。5セーブすべてをお膳立てするのは難しいし、本人やファンも納得しないでしょう。残り50試合ほどある中で、4セーブは自分でもぎ取らないといけないと思いますね」 250セーブは佐々木主浩、高津臣吾、岩瀬仁紀の3氏しか成し遂げていない大記録。藤川の達成シーンを見たいと思う野球ファンは多いだろう。しかしその一方で、阪神には後進のストッパー育成という難題が残されている。前出・安藤氏も「全盛期の藤川のような絶対的な存在になれる若手が今の阪神にいないことが心配」と話した。大記録達成と若手のチャンス、どちらを優先するか――その判断は、矢野監督に託される。
2020.09.10 16:00
NEWSポストセブン
藤川球児引退と「松坂世代の名球会ゼロ」問題 江本氏が解説
藤川球児引退と「松坂世代の名球会ゼロ」問題 江本氏が解説
「ボールが浮き上がって見えた」「分かっていてもバットに当たらなかった」――並みいる好打者がそう口を揃えた“火の玉ストレート”で甲子園を沸かせた阪神・藤川球児(40)が引退を表明した。 日米通算245セーブを積み上げた藤川は、名球会入りの条件となる250セーブまであと5セーブに迫る。さらに、藤川を含む「松坂世代」で名球会入りを果たした選手が1人もいないため、野球ファンの間では藤川の250セーブ待望論が高まっている。阪神元投手コーチで通算350勝の名球会メンバー・米田哲也氏が語る。「達成させてやりたいが、今の藤川では3点差でも1イニングを任せるのは不安だね。藤川は低めのコントロールよりも、高めの抜け球で三振を取るタイプなので、球威がなくなると厳しい。消化試合でセーブを稼ぐのは本人もファンも納得しないでしょうから、自力でもぎ取るしかない」 コンディションが万全でない中、5セーブの壁はかなり高いとの指摘だ。 そうなれば、“松坂世代の名球会入り”は、日米通算170勝の松坂大輔本人に託される。しかし今季は首痛と右手のしびれのため、7月に頸椎の内視鏡手術を受け、「勝ち星どころか、一軍登板のメドすらたたない」(西武番記者)という状況。藤川の引退についても沈黙を貫いている。他にはソフトバンクの和田毅がいるが、現在135勝で達成の可能性は非常に低い。 元阪神で、藤川と同じ高知商業の33学年先輩にあたる江本孟紀氏はこう語る。「藤川も松坂も和田も、並外れた素材が集まる世代ですが、名球会に届かないのはメジャーに挑戦し始めた世代というのが大きいでしょうね。日本でちょっと活躍したら、キャリアのピークで海を渡り、藤川はメジャー3年間で2セーブしかできなかった。松坂はメジャーで56勝しましたが、日本に残っていたらもっと凄い記録を残していたのではないか」 藤川は松坂に「現役でやってほしい。復活してやるために」と言葉をかけたが、大記録達成の行方やいかに。※週刊ポスト2020年9月18・25日号
2020.09.07 16:00
週刊ポスト
最年長の福留孝介は43歳に(阪神タイガース提供。時事通信フォト)
今や40代が11人に プロ野球選手の寿命が伸びた背景
 4月26日、日本プロ野球界最年長の阪神・福留孝介が43歳の誕生日を迎えた。今年終了時点での満年齢で福留に続くのは、42歳の中日・山井大介、41歳のヤクルト・五十嵐亮太、阪神・能見篤史、広島・石原慶幸、40歳のヤクルト・石川雅規、西武・松坂大輔、楽天・久保裕也、渡辺直人、ロッテ・細川亨、阪神・藤川球児の計11人が40代となる。 野球担当記者は次のように話す。「20年前くらいまでは30歳になればベテランと呼ばれていましたし、30代後半で不調になれば、すぐに『引退』という文字がスポーツ紙に踊った。最近は1年活躍しなくても、まだチャンスが与えられますし、随分と40歳前後の選手が生きやすい時代になったと感じます」(以下同) 昭和の名選手は30代後半になって1年成績が落ちると即引退するケースが多く、中には例年と変わらない成績を残していてもユニフォームを脱ぐこともあった。 巨人V9戦士を例に挙げてみよう。土井正三は36歳の1978年にレギュラーでダイヤモンドグラブ賞を獲得し、リーグ最多犠打を記録。打率も2割8分5厘と自身3番目の数字を残したにもかかわらず、球団の説得もあってコーチに転身した。高田繁も35歳の1980年、打撃は不調で1割台に落ち込んだが、リーグ最多犠打に輝くなど、まだまだチームに必要な存在だったが、身を引いた。 同じ年、40歳の王貞治も後半不調に陥り、打率は2割3分6厘まで下がったものの、ホームラン30本を放っており、来季も4番として期待されながらも、現役を退いた。 他チームの主力にも同じような選手はいた。1986年、同じく40歳の広島・山本浩二は4番として打率2割7分6厘、27本塁打、78打点でチームを優勝に導き、日本シリーズも全試合4番で出場しながら引退。1990年、40歳のロッテ・村田兆治はBクラスのチームで10勝を挙げながら、こだわり続けてきた先発完投ができなくなったため、現役生活にピリオドを打った。 2000年の球界最年長投手は39歳のダイエー・長冨浩志、野手は38歳の横浜・駒田徳広だった。駒田は6月に代打を送られ、試合中に帰宅し、首脳陣批判もしたため2軍落ち。9月に2000本安打を達成するも、球団から戦力外通告を受ける。所属チームを探したが、手を上げる球団がなく、引退した。長冨は中継ぎとして38試合に登板し、防御率2.00でダイエーの2連覇に貢献。現役続行となり、翌年も26試合に投げて1軍の戦力となった。41歳の翌々年、1軍登板なしで引退となった。 それが21世紀に入ると、30代後半に1年不調になっても引退せず、現役を続ける選手が増えた。2015年には、中日の山本昌が歴代最年長の50歳で登板して話題を呼んだ。「2000年代以降、複数年契約が当たり前になったことが大きな要因でしょう。その先駆けは落合博満です。45歳になる1998年までプレーしましたが、40歳になってからは巨人や日本ハムで複数年契約を結んでいた。昭和のような1年契約だったら、そこまで現役で居続けられたかはわかりません」 今年40代以上の選手のほとんどは、過去に複数年契約をした経歴を持っている。2013年から福留は阪神、2015年から山井は中日、能見は阪神、2014年から石原は広島、石川はヤクルト、松坂はソフトバンクと3年契約。2016年から五十嵐はソフトバンク、藤川は阪神、2015年から細川はソフトバンクと2年契約している。 また、こんな理由も考えられるという。「昭和の頃は『先発=完投』、『主力=全試合出場』が美学とされていたため、それができないなら引退すべきという風潮もありました。現代では、投手は先発、中継ぎ、抑えの役割がより明確になっていますし、野手もメジャーを倣って休養日を設けるようになりました。それに加え、科学的トレーニングも日進月歩しています。これらによって、選手寿命が延びた面は間違いなくあるでしょう。 阪神の能見は2年前から先発から中継ぎに転向して、新たな居場所を見つけています。昔ならこうは行かなかった。名選手を1年でも長く見られますし、ファンにとっても嬉しいことではないでしょうか」 その一方で、プロ野球界にも新型コロナウイルスの感染拡大の影響は及んでおり、開幕は不透明になっている。ベテランにとって、この時期にどう体力を維持するかが大きな課題だろう。試合がない今も、彼らの戦いは続いている。
2020.04.29 16:00
NEWSポストセブン
試合数減少なら福留、藤川、坂本の今季名球会入り危ぶまれる
試合数減少なら福留、藤川、坂本の今季名球会入り危ぶまれる
 開幕の見通しが全く立たなくなったプロ野球。シーズン開催に漕ぎつけたとしても、大幅な「短縮」を余儀なくされる見通しだ。そこで大きな影響を受けそうなのが「個人記録」である。通常の開幕ならシーズン143試合予定だったが、もし7月開幕なら90試合に短縮される可能性がある。 となると、勝ち星や打点など積み重ねるタイプの数字は過去最低水準になると予想されるが、一方でスポーツジャーナリストの広尾晃氏は、打率や防御率、勝率といった「率」の記録では、打率4割など歴史的な数字を出せるチャンスがあると指摘する。他にも異色の記録が生まれそうだと広尾氏がいう。「本塁打が多い現代野球では投手の防御率0点台は難しいでしょうが、戦後2例しかない勝率10割は現実味がある。巨人・菅野智之(30)あたりは期待大。最高勝率のタイトルは『13勝以上』が条件なので、少ない試合数でそれをクリアできるかもカギでしょう。 野手では史上初の『成功率100%の盗塁王』があり得る。過去に20盗塁以上で成功率10割だった例は2001年の西武・松井稼頭央(26盗塁)、2002年の巨人・仁志敏久(22盗塁)の2例あるが、どちらも盗塁王は逃した。昨年、ヤクルトの山田哲人(27)が開幕から33回連続で盗塁成功したものの、9月に入って失敗が続いてしまった。今季は快挙を狙ってほしい」 逆に、通算記録では達成が危ぶまれるものが出てくる。通算2000本安打まで阪神・福留孝介(42)があと103本、巨人の坂本勇人(31)があと116本に迫っている。坂本は史上最年少の記録更新もかかっているが、2人とも今季中の達成に黄信号が灯る。「現役最年長の福留は、昨年104試合で89安打。90試合で103安打は厳しいでしょう。坂本も、昨年116本目のヒットを打ったのが93試合目だったから、今季中の達成は微妙になってくる。 投手では阪神・藤川球児(39)が名球会入りの決まる日米通算250セーブまであと7セーブ。昨季は復活して16セーブをあげたが、短縮シーズンでどこまで記録を伸ばせるか」(スポーツ紙デスク) ベテラン選手にとっては、キャリアを通じて節目の記録に届くかが左右されかねないわけだ。 ただ、80年以上に及ぶプロ野球の歴史を振り返れば、時期によって年間の試合数は異なる。「王(貞治)さんは年間130試合の時代に通算868本塁打の世界記録を打ち立てたが、現在のように143試合なら900本を超えていた」(同前)といった具合に、“タラレバ”を言い出せばきりがない。 たとえ異色の記録だらけのシーズンになるとしても、ファンは今年のうちにスタジアムを満員の観客が埋め尽くす日を待ち望んでいる。※週刊ポスト2020年4月24日号
2020.04.16 16:00
週刊ポスト
最後の松坂世代・久保康友 西武復帰の松坂大輔に抱く思い
最後の松坂世代・久保康友 西武復帰の松坂大輔に抱く思い
 かつて「松坂世代最後の大物」と呼ばれた元DeNA・久保康友(39)は、日本から1万キロ以上離れたメキシコの地でプレーを続けている。今季はメキシコリーグのレオン・ブラボーズに所属し、奪三振王のタイトルを獲得。地球の裏側でプレーを続ける久保が、古巣・西武に復帰して現役続行を決めた松坂大輔にエールを送る──。「今、野球は趣味みたいな感じ。世界中を旅したいから野球を続けている」 そう笑いながら語る久保は、来季で40歳を迎える。90人以上がプロ入りした黄金世代も不惑を迎え、NPBで現役の選手は和田毅(ソフトバンク)、藤川球児(阪神)、渡辺直人、久保裕也(共に楽天)、そして12月3日に古巣・西武への復帰が発表された松坂の5人のみ。海外で現役を続ける久保は、松坂の決断を特別な思いで見たという。「松坂は本当に野球が好きなんやね。ソフトバンク辞めて中日に入った時が一番驚いた。もしオレが右肩痛やケガで満足に投げられないようになったら、日常生活に支障をきたすと感じて野球を辞めているよ。 もともとオレは何も持っていないから、野球で自分の能力を信じたことが一度もない。だから『できない人間』の気持ちがわかる。壁にぶつかるなんて小学生のころから日常茶飯事。でも、多くのプロ野球選手は違う。天才は一度挫折をしたら、どうしていいかわからなくなる。それで心が折れて消えた選手を何人も見てきた。それなのに天才のなかの天才が辛い思いをしても野球を続ける。凄いな」 久保は小1から野球を始めた。友達が野球チームに入っていたので一緒に遊びたい。それだけの理由だった。とりたてて運動神経が良いわけではなく、小学校でリレーの選手に選ばれたこともなかった。中学では補欠で3番手投手だった。なぜ野球を続けたのか。「野球をやっていたほうが内申点でいい高校に入れるから。一流企業に入るために、いい大学、いい高校に入る。野球はそのためのツールだった」 1980年代後半にバブルがはじけた。久保が中学生だった1990年代半ばは就職氷河期で、新卒採用では学歴が重視される時代。受験戦争は熾烈だった。“いい大学に行きたい”という久保の考え方は当時の学生として珍しくなかったが、野球でまばゆい才能が集まる「松坂世代」では異色だった。進学した関大一高(大阪)でエースになったのは2年秋。同級生がヘルニアで投げられず、一学年下の有望株も故障していた。久保の当時の球速は135キロ。「強豪校には打ちごろの球だった」といい、試合で滅多打ちを食らうことも少なくなかった。1998年のセンバツに出場できたのも「運に恵まれたから」だと振り返り、当時は「甲子園に来たから推薦でいい大学に行けるやろ」とチームメートと話していたという。 ところが、無欲の快進撃で勝ち抜いて決勝の舞台に。相手は絶対王者・横浜だった。開会式で記念撮影してもらった松坂と対戦するなんて全く想像もしていなかったという。 実際に対戦して力の差に虚しさを感じた。松坂の集中力を削ごうと、イニング間にマウンドですれ違うたびに「暑いな」、「ナイスピッチング」とか話しかけたが、松坂は「そうだね」と穏やかだった。打席では内角攻めにも動じない。制球ミスでぶつけてしまった時も、顔色一つ変えず一塁に向かう松坂の姿を見て、「無理や」と感じたという。 試合は0-3で完封負け。久保は6回まで1失点と好投したが、「あの試合、ホームスチールを仕掛けたけど簡単に見破られた。レベルが違いすぎて奇襲にならない。打席でも松坂の球が見えない。悔しさなんて全くなかった」とスコア以上の実力差を痛感した。◆「同じチームで一緒に過ごしたい」 松坂は高卒1年目に西武で最多勝を獲得。久保は大学進学に失敗し、松下電器に入社した。次元が違いすぎて刺激にもならなかった。そして、松坂から遅れること6年。2004年、24歳でロッテに自由獲得枠で入団した。才能がないことを自覚しているからこそ、「プロも就職先の一つ。松下に残った時の生涯年収を稼ぐためにプロで10年頑張ろう」と目標は決して高くなかった。 松坂とは公式戦で一度だけ投げ合った。2006年6月24日の西武―ロッテ戦(長野)。ところが、松坂は初回途中に股関節の違和感で降板。久保は7回途中4失点で降板した。特別な感情はなかった。野球は仕事と徹していた。ロッテ、阪神、DeNAを渡り歩いて13年間で通算97勝を挙げている。プロでは十分に「名選手」とされる成績だが、本人の感覚は違う。数字に興味はない。年齢を重ね、一度きりの人生をどう生きるかに価値を重んじるようになった。「オレはオタクになれる人を尊敬している。世間の目を気にせず、一つのことに何時間も没頭する。自分は野球に限らず何かに没頭した感覚はないから、その部分がうらやましくて。松坂に抱く感情もそういう感覚に近い」 才能の差を見せつけられた松坂が満身創痍の状態で、もがきながら野球を続けている。その姿に心が揺さぶられた。「もう一度、松坂と投げ合いたいか?」と訊くと、意外な答えが返ってきた。「野球に対する感性や感覚が全然違うから、同じチームで一緒に過ごすことでそういう部分を知りたい。今は目の前のやるべきことを頑張ってほしいと純粋に思う」 人生は十人十色。久保と松坂は全く違うレールの野球人生を歩んでいる。初めて出会った高3春のセンバツから21年の月日が経った。40歳を迎える来季も、2人はマウンドに立つ。●取材・文/平尾類
2019.12.09 16:00
NEWSポストセブン
打撃練習で汗を流す阪神・福留(時事通信フォト)
藤川球児、福留孝介、糸井嘉男 阪神おっさんパワーに注目
 3月29日に2019年のプロ野球が開幕した。ルーキーたちや新監督たちの采配だけでなく、ベテラン選手たちからも目が離せない。阪神では、藤川球児(38)が「ストッパー復活」に名乗りを上げた。矢野燿大監督は、昨季32セーブを挙げたドリス(31)をストッパーに起用する方針を決めているが、昨シーズン7敗を喫しており不安は残る。「現役時代に藤川の球を受けていた矢野監督の期待は大きい。キャンプ中には、阪神OBの江夏豊氏も藤川のストッパー起用に太鼓判を押していた。かつての『火の玉ストレート』は投げられなくなったが、コントロールやマウンドさばきで抑えられるようになった。日米通算225セーブを挙げており、名球会資格まであと25セーブというのもモチベーションになっている」(スポーツジャーナリスト) 阪神では、福留孝介(41)と糸井嘉男(37)も外野のレギュラーとしてフル出場を目指している。 阪神の左のワンポイントとしてブルペンを支え、「ゴジラキラー」として名を馳せた遠山奬志氏が言う。「ベテランは一度失敗したら後がない。その先には“引退”や“戦力外”もチラつきます。プレッシャーはありましたが、後がない危機感は集中力につながります。 それに、過去の実績がある選手は、その“名前”だけで相手チームに脅威に映る。打力や球速が落ちてきても“おっさんパワー”はダテじゃないんです」※週刊ポスト2019年4月12日号
2019.04.04 16:00
週刊ポスト
デイリースポーツを今も悩ます「ロサリオ後遺症」とは?
デイリースポーツを今も悩ます「ロサリオ後遺症」とは?
 2月はプロ野球ファンにとって、希望に胸を膨らませる時期だ。特に、未知数である新外国人選手には大きな期待が寄せられる。野手が紅白戦でホームランを連発すれば「年間40発打つ」と願望を抱き、投手が150キロ投げるという情報を目にすれば「15勝は固い」と計算し始める場合もある。“トラ贔屓”で知られるデイリースポーツには毎年、阪神の新外国人に関する派手な見出しが躍っている。どこまで真に受けていいものか。いや、阪神ファンなら既に信じてはいけないと熟知しているはずだ。 過去3年の阪神新外国人野手について、デイリーは公式戦出場前に必ず「太鼓判」を押している。順番に見ていこう(※以下、『デイリースポーツ online』参照。見出しに「太鼓判」の文字があるかで判断。以下、記事内の引用は〈 〉で括る。所属は当時)・マット・ヘイグ見出し:川崎が阪神ヘイグの日本順応に太鼓判(2016年1月20日)・エリック・キャンベル見出し:新助っ人・キャンベルは成功する!元オリックスのメッツ・コリンズ監督が太鼓判(2016年12月8日)・ジェイソン・ロジャース見出し:ドリス&マテオ、新助っ人ロジャースに太鼓判 過去に対戦、サポート任せろ(2017年7月5日) 元ソフトバンクの川崎宗則は前年にヘイグと3Aでチームメイト、コリンズ監督にとってキャンベルは〈14年5月のメジャーデビューからそばで見てきた教え子〉だった。デイリーは元同僚に話を聞いて、記事を構成している。 だが、ロジャースの場合は事情が異なる。〈過去に対戦〉とあるが、中身を読むと、ドリスは1度、マテオは2度しか勝負しておらず、ドリスは「レベルの高いリーグで成績を残していたし、いいバッターだと思う」と一般論に終始。特に独自の情報を話しているわけではなかった。 このように、デイリーは来日前後のあまり情報がない段階で、関係者取材による「太鼓判」記事を毎年のように綴っている。いわば、恒例行事である。この程度であれば、ファンは「阪神贔屓のデイリーだからな」で済ませられる。3選手の成績を振り返ってみよう。マット・ヘイグ(2016年)/31試合/2割3分1厘/2本塁打/11打点エリック・キャンベル(2017年)/21試合/1割9分1厘/1本塁打/5打点 ジェイソン・ロジャース(2017年)/40試合/2割5分2厘/5本塁打/23打点 いずれも、1シーズン限りで解雇されている。彼らはこの記事以外に、見出しで“太鼓判”を押されていない。デイリーも来日前後は期待するが、意外と冷静に判断している。◆ラーメンとチャーハンで適応力がわかる? だが、昨年デイリーが「太鼓判」を押しまくった選手がいた。あのマイク・グリーンウェルを超える新外国人1年目の球団史上最高年俸3億4000万円で迎えられたウィリン・ロサリオである。韓国・ハンファで2年連続3割、30本、100打点以上をマークした彼は、記事の見出しと文中を合わせ、11回もの「太鼓判」を押されていた。 キャンプが始まる前、デイリーはまずこう書いた。見出し:ロサリオ一塁守備に高代コーチ太鼓判 昨年沖縄Cで“初遭遇”昨季映像も確認(2018年1月14日) この記事は、高代延博コーチが前年の沖縄キャンプ中に古巣の韓国・ハンファを訪れて1日だけロサリオを見たこと、昨季の守備を映像で確認したことを元に構成されており、少々無理がある。文中では〈一塁守備に及第点を与えた〉とだけ書かれているのに、見出しでは「太鼓判」に飛躍している。過去の新外国人選手と同様、オフの恒例記事に見えた。 だが、この2週間後、ロサリオが来日すると、読者は驚愕の見出しを目にすることになる。見出し:ロサリオ 適応能力高いデ!いきなり豚骨ラーメンとチャーハン食べた(1月29日)記事内:谷本球団本部長は「真摯(しんし)に取り組む選手だと聞いているので、金本タイガースにぴったりだと思います」と日本での成功に太鼓判を押す。 記事を読むと〈入団会見前の昼食は、クラブハウスでとんこつラーメンとチャーハンで腹ごしらえをした。外国人選手がその国の料理に苦しむことはよくあるが、ロサリオの場合は問題ない〉と書かれている。これによって〈適応能力高いデ!〉と判断され、最終的に〈太鼓判〉を押されてしまったのだ。 この段階でも、まだ阪神ファンは「デイリーだから」と冷静に見ていたはずだ。ラーメンとチャーハンを食べたぐらいで、適応力なんてわかるはずがない。 しかし、キャンプに入ると、ロサリオは本当に太鼓判を押したくなる姿を見せた。紅白戦や対外試合で打ちまくったのだ。 初めての紅白戦で2安打を放つと、デイリーは〈ロサリオ 大ハッスルデビュー戦 マルチ安打に好走〉(2018年2月8日)という見出しを打ち、記事の文末は〈間違いなく超一流の野球観を持っている〉で締めた。文中に「太鼓判」の文字は出てこないものの、絶賛していた。 その後、デイリーは「太鼓判」を押しまくった。見出し:阪神・掛布SEA、衝撃デビューのロサリオに太鼓判「ポパイみたい」(2月11日)見出し:TORACO応援隊長・山本彩 虎の新助っ人・ロサリオにメロメロ 50発イケる(2月12日)記事内:「40本、いや50本打ってくれると思います」と、阪神では1986年のバース以来となる50本塁打に太鼓判を押した。見出し:ロサ砲志願の特守30分 打っては推定150メートル弾(2月14日)記事内:高代コーチは「いつでもいける」と太鼓判(※注:一塁守備について)見出し:KIA・正田コーチ 教え子・ロサ砲の活躍太鼓判「期待通りに」(2月22日。※以前、韓国ハンファで指導していた正田耕三コーチに取材)見出し:ロサ砲三盗 度肝抜く足技!完全無欠の助っ人や!マルチ3打点(2月22日)記事内:「彼は同じやられ方をしない。相手としたらすごくイヤな選手。日本で活躍できると思うよ」と太鼓判を押す。(※注:練習試合の対戦相手である韓国KIAの金杞泰監督のコメント)見出し:新助っ人ロサリオは打てる!谷佳知氏が分析「本当にきれいなスイング」(2月24日)記事内:遠くへ飛ばすパワーに目が行きがちだが、谷氏はミート力のあるスイングに注目し、今季の活躍に太鼓判を押した。(※注:デイリースポーツ評論家で元オリックスの谷佳知氏がフォームを解析)◆【ロサリオ 不安】で検索した結果… シーズンどころか、オープン戦も始まっていない段階なのに、〈完全無欠の助っ人や!〉と断定されていた。しかし、ロサリオはオープン戦に入ると絶不調に陥り、打率1割4分3厘、1本塁打、4打点と苦しんだ。 すると、デイリーはファンを安心させるためか、開幕前にもう一度「太鼓判」を押した。見出し:ロサリオは打つ 大隣が太鼓判!ウインターリーグでバッテリー「もろい印象ない」(3月22日)〈2011年オフ、ドミニカ共和国のウインターリーグでは同じチームでバッテリーも組んだ間柄〉というロッテの大隣憲司を取材し、〈「セとパで対戦が少なくてよかった」と、助っ人砲を絶賛した〉とリポートしている。 年1回、しかも話題の少ないオフに綴る“元チームメイトによる新助っ人太鼓判記事”を開幕直前に再び書かざるを得ないほど、ロサリオの状態は良くなかった。 キャンプの残像が消えない。打つに違いない。かつて首位打者を獲得した谷佳知が絶賛し、当代随一の人気を誇る山本彩だって50発と言ったじゃないか。絶対に覚醒の時が来る──。記事からそんな叫び声が聞こえる。 私は、ふと思った。デイリーといえど、ロサリオの状態に疑問を持ったことはあったはずだ。真逆の意味である【ロサリオ 不安】で検索すると、どうなるのか。主な記事を挙げてみよう。見出し:ロサリオ逆方向も任せろ!またまた打った3戦連発 響く他球団007の悲鳴(2月17日)記事内:不安要素を探す方が難しい。見出し:ロサ砲三盗 度肝抜く足技!完全無欠の助っ人や!マルチ3打点(2月22日)記事内:変化球への対応にも不安を感じさせなかった。見出し:ロサリオ、来日1号 不安一蹴!苦手スライダーを左翼席上段へ(4月2日)記事内:すべての不安を一蹴する3試合連続打点。 これらの記事以外でも、デイリーはロサリオへの「不安」を打ち消していた。裏返せば、絶好調のキャンプ中も、どこかに〈不安要素〉や〈変化球への対応に不安〉を感じていたからこそ、敢えて「不安」の2文字を入れたのかもしれない。 考えてみれば、3月22日の“もろい印象ない”という見出しも、“もろい印象ある”ため、たった1か月ではあるが一緒にプレーした大隣に話を聞いて、“もろい印象ない”と書いたのではないか。 巨人との開幕3連戦では活躍したものの、ロサリオは3、4月を打率2割7分5厘、2本塁打と50発ペースから程遠い成績で終える。5月に入ると、不振が深刻化し、26日の巨人戦で金本監督がついに決断を下した。見出し:阪神が今季初のサヨナラ勝ち 中谷が殊勲打 3位浮上(5月26日)記事内:辛勝で4連勝を飾ったが、不安を残す一戦にもなった。七回、巨人・上原が3番手でマウンドに上がったところで、4番・ロサリオに打順が巡ったが、金本監督は代打・鳥谷を告げた。この日は全て走者を置いた場面で3打数無安打。途中交代はあるが、代打を送られるのは初めてだ。 ここで、初めて「不安」をそのまま綴った。だが、デイリーはロサリオに直接不満をぶつけるわけでなく、気を遣った書き方をしている。ロサリオに代打を送ったらプライドを傷つけるのではないか……という意味に受け取れなくもない。 ロサリオは翌日以降もスタメン起用されたものの、6月2日に初めて先発を外れ、翌3日に出場選手登録を抹消される。わずか4か月前、希望の星だった助っ人がまさかの2軍行きを命じられた。それでも、デイリーは決してロサリオを見放さなかった。「不安」という言葉の使い方に着目してほしい。見出し:新庄の成功は「ケンのおかげ」(6月7日)記事内:新庄は年俸2200万で海を渡ったけれど、ロサリオは違う。重圧、不安、苛立ち…言い知れぬ感情があるだろう。そんなとき彼に寄り添う伴走者、味方は不可欠である。見出し:ロサリオよ、外スラは「振らない方が怖い」 矢野2軍監督“捕手目線”で復調ヒント(6月7日)記事内:周囲の不安とは裏腹に、ロサリオは終始明るい表情で汗を流した。 デイリーの名物コラム〈吉田風取材ノート〉は、新庄剛志のメジャー移籍は岩本賢一通訳がいたから成功したという例を挙げ、ロサリオの心情を慮った。同日の別記事では〈周囲の不安〉と書くことで、記者の揺れ動く心境をのぞかせた。 一度惚れ込んだ選手が阪神に在籍している以上、デイリーはとことん寄り添う。人間的な優しさを感じさせる記事ではないか。 一方で、この頃、デイリーは感情の起伏が激しくなっていたように見える。阪神は不振のロサリオの穴を埋めるべく、エフレン・ナバーロの獲得に乗り出していた。そのナバーロに対して、あまりに「太鼓判」を押し過ぎたロサリオが打てなかったため、これまで通りの見出しでは信じてもらえないと思ったのか、デイリーは予期せぬ言葉を繰り出した。見出し:虎獲得目前ナバーロに極上評価 WBCメキシコ代表盟友、日本ハム・レアードが太鼓判(6月12日)「太鼓判」を押しても疑われそうな状況で、「極上評価」という大賛辞を送ってしまった。失敗を取り返そうとすると、さらに大きなことを言ってしまうという心理があったかもしれない。いや、もしかしたら今までもデイリーから「極上評価」を受けた新外国人がいたのではないか。私は数人の選手名を入れて検索してみた。 検索ワードは、【キンケード 極上評価】【メンチ 極上評価】【コンラッド 極上評価】。この検索結果は、〈ご希望のページは見つかりませんでした。他の言葉でお試し下さい。カタカナの場合は全角入力でお試し下さい。〉となった……。『デイリースポーツ online』を調べる限り、ナバーロのような『極上評価』を受けた阪神の助っ人はいない。ロサリオはデイリーの歴史を動かすほど、天国から地獄への振り幅の大きい選手だったのだ。 裏切られたという思いを抱いてもおかしくないのに、デイリーは2軍落ちしてもロサリオを信じ続けた。見出し:ロサリオ、昇格いつでもOK弾 “救世主”へ2安打3打点「チャンスを待つだけ」(6月24日)記事内:「上(1軍)がゴーを出せばという打席内容」と助っ人の状態面に太鼓判を押した。(※注:矢野2軍監督のコメント) まだ「太鼓判」を押し、「救世主」になると信じていたのだ。 キャンプ中、不安要素を探す方が難しく、オープン戦で不調に陥るも、開幕3連戦ですべての不安を一蹴した完全無欠の助っ人・ロサリオは75試合出場に留まり、打率2割4分2厘、8本塁打、40打点に終わった。8月26日の巨人戦を最後に1軍出場することなく、日本を去った。◆マルテは“山田哲人級の選手”と表現 今年、そのロサリオの代わりに、阪神はジェフリー・マルテを獲得した。昨年までメジャーリーグのエンゼルスに在籍していたマルテも、デイリーの恒例行事である「太鼓判」を押されている。見出し:新助っ人マルテは「ヤクルト山田」 ドリスが太鼓判(2019年1月29日)記事内:ドリスは3度のトリプルスリーを達成しているヤクルト・山田哲人級の選手だと高く評し、馬力のある強打者であると太鼓判を押した。 例年通りの“元チームメイトによる新助っ人太鼓判記事”であり、過度な期待をする読者はもはやいないかもしれない。 内容を読むと、2015年に3Aで同僚だったドリスの〈ヤクルトの山田(哲)みたい。体はマルテもそこまで大きくはないんですけど、見た目が大きくないのにパワーがある〉というコメントを引いた上で、地の文で〈ドリスは3度のトリプルスリーを達成しているヤクルト・山田哲人級の選手だと高く評し〉と書いている。“ヤクルトの山田(哲)みたい”を“ヤクルト・山田哲人級の選手”と表現。やや飛躍させた感があるものの、これぞ、デイリーの真骨頂ではないか。 一方で、今年は“デイリーらしさ”を自重している面もある。2月11日の初の紅白戦でマルテが本塁打を放った翌12日、1面の見出しはこうなった。見出し:マルテ初弾!2安打3打点 掛布SEA「対応力ある」ヤクルト007「実戦向き」 あくまで事実とコメントをそのまま並べただけで、論理の飛躍は見られない。初の紅白戦を伝える記事の文末で、ロサリオには〈間違いなく超一流の野球観を持っている〉と最高級の賛辞を送ったが、マルテには〈これからもファンの期待をマルテが背負う〉と締めるに留まっている。 デイリーには、どうも“ロサリオ後遺症”があるのかもしれない。 前日10日付のデイリースポーツ本紙の名物コラム『松とら屋本舗』で松下雄一郎記者は〈もう去年みたいな思いはしたくない。だから極力期待しないように…というか、ダメだと決めつけて見るようにしてます。皆さんの中にもいるんじゃないだろうか。「ロサリオシンドローム」です〉と素直な心境を綴っていた。 この気持ちは、デイリー全体に行き渡っているようだ。マルテの活躍を1面に持ってきた12日付の2面では、〈吉田風の取材ノート〉に『あれだけ打てないわけは…』という見出しが打たれ、韓国ハンファでロサリオを指導していた正田耕三コーチに話を聞いている。その下段にある『トラ番25時』では、藤川球児がロサリオについて触れている。 デイリーの記者も阪神の選手も、キャンプで打ちまくり、シーズンで沈んだロサリオのことが今も忘れられないのではないか。 私はマルテの紅白戦での大活躍に浮き足立たないデイリーの紙面に物足りなさを感じる一方で、ロサリオのトラウマがあまりに大きいのか……と感傷的にもなった。 紙面を通じて、記者の葛藤も読み取れる。だから、デイリースポーツは愛されるのかもしれない。●文/岡野誠:ライター・芸能研究家・データ分析家。研究分野は田原俊彦、松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。一時、『笑点』における“三遊亭好楽ドヤ顔研究”を試みるも挫折。著書に、本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料の緻密な読解を通して、田原俊彦という生き方を描いた『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)。
2019.02.16 16:00
NEWSポストセブン
就任会見での笑顔(時事通信フォト)
阪神OB遠山奬志氏「成長株の若虎三銃士で投手王国目指せる」
 2018年は17年ぶりに最下位へ沈んだ阪神タイガース。2019年シーズンへ向け矢野燿大新監督(50)が就任。先発投手陣については、元オリックスの西勇輝(28)や元中日のガルシア(29)ら積極的な補強でテコ入れをした。野村克也監督の下でサイドスローに転向し、“松井秀喜キラー”として名を馳せた遠山奬志氏(51)は、古巣のプルペンをこう分析する。「矢野監督が“藤川球児(38)を抑えにしたい”と取材に答えていた。年齢はあるが、球児の球のキレを評価しているのでしょう。昨季途中から中継ぎに転向した39歳の能見篤史を、そのままブルペンの柱とするのも適正だと思う。 高卒4年目の望月惇志(21)、3年目の才木浩人(20)、浜地真澄(20)の『若虎三銃士』も未知数だが成長株です。投手王国も目指せる」 遠山氏は「新監督ですぐ変わるほど甘くない」としながらも、Aクラス入り3位を予想し期待をにじませた。※週刊ポスト2019年1月18・25日号
2019.01.18 07:00
週刊ポスト
FAの人的補償、2005年を転機に急増し始めたワケ
FAの人的補償、2005年を転機に急増し始めたワケ
 まさかの生え抜き放出となってしまった──。2000年代後半から2010年代前半にかけて、原辰徳監督の元で6度のリーグ優勝、2度の日本一に貢献。最多勝2回、奪三振王1回を獲得し、長年巨人を支えてきた内海哲也が、FA加入の炭谷銀仁朗の人的補償として西武に移籍する。今年4年ぶりの完封を挙げて来季の完全復活が期待され、若手からも慕われていたベテラン内海の移籍は衝撃的だった。野球担当記者が話す。「最初から内海を放出する形になっても炭谷を獲りたいという戦略だったのであれば、問題はない。しかし、今の巨人には安定感のある左の先発が不足している。メルセデスや今村信貴は後半戦活躍したが、来年成績を残せるとは限らない。田口麗斗が復活する保証もない。実績のある内海は残しておきたい戦力だったはず。 来季の巨人は阿部慎之助が捕手に復帰。レギュラーの小林誠司、1年目の今年非凡な打撃を見せた大城卓三がいる中で、敢えて炭谷を獲る理由は当初から疑問視する向きもあった。FAを抜きにした場合、巨人は炭谷と内海のトレードを西武に申し込んだかと言えば、疑問でしょう」(以下同) いずれにせよ、内海は来季、新天地・西武での再スタートとなる。 1993年オフに施行されたFA制度だが、当初は人的補償による移籍はほとんどなく、2004年まではわずか3例だった。それが2005年以降は今回の内海を含めて22例に上る。なぜ、急に活発化するようになったのだろうか。「中継ぎ投手が重視され始めたことと大きな相関関係があると思います。昔も今も一軍選手登録は28名ですが、1990年代はレギュラーと控えには大きな差があり、投手でいえば中継ぎは格下扱いされていたことは事実です。 もちろん、1990年代も投手は先発、中継ぎ、抑えという役割分担ができていましたが、古くからの『先発完投』が投手のあるべき姿という考えも根強かった。2000年代に入り、それが徐々に変わっていきます」 2001年にオールスターのファン投票で中継ぎ、抑え部門が創設される。そして2005年、中継ぎの記録であるホールドがセ・パ両リーグに制定される。「人的補償による移籍の急増を考える時、2005年が大きなターニングポイントになったと言っていい。阪神の岡田彰布監督がJ・ウイリアムス、藤川球児、久保田智之のJFK、ロッテのバレンタイン監督が薮田安彦、藤田宗一、小林雅英のYFKという鉄壁のリリーフ陣を作り出し、ともに優勝を果たした。この辺りから中継ぎにも回ごとの明確な役割分担が生まれていきます」 現在のプロ野球では7回、8回、9回と終盤の1回毎にリリーフ投手が固定され、その陣容次第でペナントの行方を左右するほど重要視されるようになった。その発端は2005年にあったのだ。「2005年オフ、巨人が中日から野口茂樹を獲得する代わりに小田幸平、同じく巨人が西武から豊田清を獲得すると代わりに江藤智が指名される。以降2008年、2009年、2015年を除いて、毎年人的補償による移籍が発生しています」 FAで選手を獲得した球団は、一軍登録と同じ数の28名しかプロテクトに掛けられない。「各チームとも2005年以降年々、リリーフ陣への力の入れ具合が増している。そのため、優秀な中継ぎ投手をプロテクトから外すわけにはいかない。しかも、プロテクト枠には、最近のドラフト上位選手など有望な若手も入れなければならない。そうすると、内海のような谷間の先発投手はプロテクト漏れする可能性が高くなる。しかも、実績のあるベテランとなれば他球団も欲しがります。中継ぎに今ほど力のある投手の少なかった1990年代では考えられない事態が起こっているわけです」 巨人から西武に人的補償で移籍する選手は2005年の江藤、2013年の脇谷亮太に続いて3例目。江藤は移籍3年目に4番を打つなどチームの日本一に貢献。脇谷は移籍1年目に96試合、2年目に118試合出場と復活した。5年間2ケタ勝利から遠ざかっている内海も、新天地で花を開かせることができるか。
2018.12.23 16:00
NEWSポストセブン
阪神・矢野新監督、金本への義理より重んじたノムラIDの教え
阪神・矢野新監督、金本への義理より重んじたノムラIDの教え
「このタイミングはすごく悩む材料になりましたが、逃げてやらずに後悔するより、やってみるべきだと思いました」 10月15日、金本知憲・前監督の辞任を受け、矢野燿大氏が第34代阪神監督に就任した。 同い年で東北福祉大の後輩でもある金本氏に請われて一軍コーチ、二軍監督を歴任。就任会見では随所に金本氏への配慮を見せた。スポーツ紙デスクが語る。「大学と現役、そして指導者と人生の半分以上を共に過ごしている。選手に対して熱くなることも多かった金本氏ですが、矢野氏が諫めれば“スマン”とすぐに収まるほど、互いに全幅の信頼を置いていた。運命共同体とも言えるほどの絆で結ばれていたからこそ、金本氏が辞任しながら自分が後釜に座ることに葛藤はあったはず。 矢野氏がそれでも監督を引き受けたのは、他に生え抜きの監督候補が複数おり、“中日から来た外様の自分が今回断わると、二度と縦ジマのユニフォームを着られなくなる”というプレッシャーを強く感じたからだといわれている」 それだけの覚悟で引き受けたからこそ、金本への想いを断ち切るべく、“脱・金本野球”に腐心しているという。デイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏が語る。「今季は勝負がかかる9月に北條史也、原口文仁、藤川球児など主力が相次いで戦線離脱。過酷な試合日程に見舞われる不運もあったが、精神論にこだわって過酷な練習で徹底的に選手を追い込む金本野球の限界が見えた一年でもあった。 矢野氏は野村克也氏が阪神の指揮を執った3年間、正捕手としてID野球を骨の髄までたたき込まれた。今も野村氏とは密に連絡を取り合い、采配から選手育成まで監督としてのイロハを教わっている。中日時代の同僚で、研究と分析に長けた“頭脳派”の清水雅治・元楽天コーチを新体制のヘッドコーチとして招聘したのも、その流れからです。矢野政権では金本色は一掃されることになる」 義理を捨てて、冷徹になり切れるか。※週刊ポスト2018年11月2日号
2018.10.24 07:00
週刊ポスト
「先発松坂」だけじゃない 球宴は「オーバー35」が席捲か
「先発松坂」だけじゃない 球宴は「オーバー35」が席捲か
 7月13、14日に開催されるプロ野球オールスター戦に向けて、今月末からファン投票が始まるが、投票のマークシート用紙に中日の松坂大輔(37)がノミネート選手として記載されることが判明し、話題を呼んでいる。「マークシートという方式のため、ノミネートされた選手が票を伸ばす公算は高い。松坂の成績は、4月に本拠地で3試合投げて1勝をあげただけだが、中日のホームゲームの観客動員数は前年比18.3%の大幅増。間違いなく“松坂効果”です。地元の組織票も動くから、今後の投球内容次第では最多得票での選出まであり得る」(地元紙記者) しかも、松坂だけではない。今季はオールスターに選ばれそうなベテラン勢の活躍が目立っている。 セ・リーグでは、阪神の福留孝介(41)と糸井嘉男(36)がいずれもクリーンアップを任され、メッセンジャー(36)が先発、藤川球児(37)が中継ぎの中核を担っている。他にも、昨年までメジャーリーグでプレーしたヤクルト・青木宣親(36)と巨人・上原浩治(43)の“日本球界復帰組”が控えている。一方のパ・リーグには、5月9日に通算2000本安打を達成したソフトバンク・内川聖一(35)、同じく今季中の2000本安打達成が見込まれるロッテ・福浦和也(42)と、“オーバー35”の選手が揃い踏みなのだ。 オールスター休みはベテラン勢にとって、“貴重な休養”にも思えるが、実際のところはどうなのか。 1989年のオールスターに39歳8か月で出場し、最高齢勝利を飾った村田兆治氏はむしろ、長く活躍するには「どんどん出場を目指したほうがいい」と語る。「ベテラン勢は“オールスターまできちんと投げていないと来年はない”という考え方をすべき。それがプロ意識でしょう。松坂には勝利数より、試合でいかに存在感を見せるかを頑張ってもらいたい。オールスターにも出て活躍すれば、それをきっかけにもっとピッチングもよくなると思う。今季選ばれなくても、2年後のオールスターで、松坂に俺の記録を抜いてもらいたいね」 オールスターで最高齢勝利をあげた1989年、村田氏は3回目の最優秀防御率のタイトルを手にしている。 今年、球宴をきっかけにさらに派手な“最後の花火”を打ち上げるのは誰になるか。※週刊ポスト2018年5月25日号
2018.05.16 07:00
週刊ポスト
名球会入り選手はゼロ、崖っぷち「松坂世代」の瀬戸際
名球会入り選手はゼロ、崖っぷち「松坂世代」の瀬戸際
 CS開幕直前の10月13日、「巨人・村田修一が自由契約選手へ」というショッキングなニュースが球界を駆け巡った。 1980(昭和55)年生まれの村田は、いわゆる「松坂世代」の一人だ。過去に2度も本塁打王に輝いた、世代屈指のスラッガーに対する戦力外通告。この出来事は、「松坂世代の終わりの始まり」を示唆しているように思う。彼らは今、世代交代の波に、完全に飲み込まれようとしている。 村田をはじめとする松坂世代の選手たちはかつて、球界の中心を担う存在だった。ソフトバンク・和田毅(最多勝2回、最高勝率)、巨人・杉内俊哉(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振など)、阪神・藤川球児(セーブ王2回など)、ヤクルト・館山昌平(最多勝)、オリックス・小谷野栄一(打点王)……村田以外にもタイトル保持者が目白押しだ。 そして、何より大将格の松坂大輔本人が、MLB・レッドソックスでワールドチャンピオンにまで上り詰めている。 そんな最強世代の勢いに衰えが見え始めたのは、“大将”松坂が右肘にメスを入れた2011年辺りからだろう。 松坂の後を追うように、相次いで海を渡った和田と藤川も、メジャー移籍直後にトミー・ジョン手術を経験。ソフトバンクから巨人に移籍した杉内も、在籍1年目こそ活躍したが、以降は股関節の痛みに悩まされ、現在もケガのために2シーズンにわたって一軍のマウンドから離れている。 その結果、これだけの顔触れが揃いながら、名球会入り(通算2000安打、200勝、250セーブのいずれかを達成)した選手は1人も誕生していない。最も近い位置にいるのが、1865安打の村田と、225セーブの藤川だが、現在のチーム内の立場や役割から考えると、このまま達成できずに終わる可能性も十分に考えられる。 松坂世代と呼ばれるプロ野球選手は合計94名(外国人選手除く)誕生した。しかし今季開幕時点で、現役選手は育成契約を含めても僅か19名。このオフには江草仁貴(広島)、上本達之(西武)などが引退を表明した。来季開幕時にはさらに少なくなるだろう。 今季、チーム内でレギュラーとしての地位を保っているのも、和田、藤川、小谷野の3選手のみ。史上最高の世代と評されたタレントたちは、このまま徐々に波に飲まれていくのか。それとも最後に抗う姿を見せてくれるのか。 カギを握るのは、やはり松坂の存在だろう。「昭和55年会」を結成してオフに様々な活動をしてきたように、彼らの横のつながりは強い。中には「松坂世代」と呼ばれることに抵抗を示す選手もいたが、「仲間に入れてもらえて嬉しいくらい」と語る和田のように、その一員であることを誇りに思う選手が多かった。 高校時代、投手だった村田は松坂と対戦して「投手では一流になれない」と悟り、打者への転向を決心した。松坂は彼らにとって、それほどの象徴的な存在だったのだ。 日本球界に復帰してから、わずか1イニングしかマウンドに立っていない男に、仲間を鼓舞するほどの復活を期待するのは酷なのか。かつて松坂はこう語っている。「周囲からの重圧がなくなったとき、感じなくなったときは、選手として終わりかもしれない」 高額年俸に見合う活躍ができていない現状への批判は多い。ただ、そういう批判も含めたファンの関心がまだ残っていることも事実だ。 松坂世代の瀬戸際──。もちろん、最後に抗うための時間はそれほど残されていない。●文/田中周治(スポーツジャーナリスト)※週刊ポスト2017年11月10日号
2017.11.01 07:00
週刊ポスト
広島独走、巨人低迷のセ・リーグ 中継ぎの好不調が順位直結
広島独走、巨人低迷のセ・リーグ 中継ぎの好不調が順位直結
 プロ野球は各チームとも70試合前後を消化し、シーズンの折り返し地点に差し掛かっている。楽天とソフトバンクが激しく首位を争っているパ・リーグと比べ、セ・リーグは広島が独走状態に入りつつある。 近年、先発投手は中6日で100球程度までという慣習が定着。DH制のないセ・リーグは特に、中継ぎの負担が増している。昨季、60登板以上はパ・リーグの4人に対し、セ・リーグは12人に上る。そのセ・リーグの12人のうち、今季、30登板以上で、防御率2点台以下に抑えている投手は今村猛、ジャクソン(ともに広島)の2人のみ(記録は6月28日現在。以下同)。つまり、登板過多の翌年、同じように活躍できる確率は非常に小さいのだ。野球担当記者が語る。「ジャクソンも最近登板した5試合中4試合で失点。昨年の疲れが夏場に向かうにつれて出てきている印象です。しかし、広島は中田廉、一岡竜司らの若手中継ぎ陣が防御率2点台以下に抑え、勝ちパターンを作っています。 一方で巨人の低迷は、中継ぎの不調にも大きな要因がある。安定しているのはマシソンのみ(昨季70登板・防御率2.36、今季29登板・防御率1.85)。昨季の抑えで63登板の澤村は右肩痛で未だに1軍に昇格できず、64登板の田原も左膝痛で開幕を2軍で迎え、5月に昇格したものの、調子が出ずに登録抹消に。9年連続60登板以上の山口鉄也も、ケガで現在は2軍調整中。FAで中継ぎの森福允彦をソフトバンクから補強しましたが、2011年以降の6年で5年間も50登板以上をしているわけですから、今年思うように働けないのは予想できたことかもしれません」 抑えのカミネロは期待通りの活躍をしているものの、池田駿や篠原慎平、桜井俊貴といった若手の中継ぎ陣は信頼を得るに至っていない。これが、現在の巨人の低迷に繋がっているのではないか。「現在3位のDeNAがいまいち波に乗れないのも、昨季62登板の須田幸太が不調で2軍落ちし、61登板の田中健二朗、59登板の三上朋也に昨年ほどの安定感がないからでしょう。ただ、それを見越したのか、今年は砂田毅樹をシーズン当初から中継ぎで起用し、パットンを補強したため、何とか大崩れしないで踏ん張っている」(同前) 昨季、60登板以上した投手のいなかった阪神は、マテオ、桑原謙太朗、髙橋聡文、岩崎優が防御率1点台以下と相手に隙を与えていない。藤川球児も昨年の不調から復活した。つまり中継ぎ陣の好不調が、チームの順位に直結しているといえる。一方で、こんな見方もある。「今の野球はどの球団も判を押したように、先発投手は中6日で100球と決まっているため、中継ぎ陣に負担がかかりがち。でも、そんなルールに必然性はないわけですよ。中継ぎが手薄なら、先発を中5日で回して1人を中継ぎに回したり、先発に130球投げさせたりするような球団が1つくらいあってもいいはず。巨人の高橋由伸監督のような若い監督が、違う価値観を打ち出してもいいと思います」
2017.06.30 16:00
NEWSポストセブン
阪神・金本知憲監督 「若い選手を怒ったことは一度もない」
阪神・金本知憲監督 「若い選手を怒ったことは一度もない」
 沖縄・宜野座村営球場の阪神春季キャンプ。打ち上げ直前の2月27日、今季、就任2年目を迎えた金本知憲監督(48)は、特打に励む選手たちを静かに見守っていた。金本監督の選手を見つめる厳しい目は朝のウォーミングアップから始まる。投内連係、フリー打撃、走塁練習、シートノックと、常に選手の塊の中に背番号6がおり、熱い視線を送り続ける。選手も気を緩めることができない。 いつも片手にバットを握って練習を見つめ、球場を後にするまで片時も離さない。本人は「深い意味はない」と語るが、フリー打撃やティー打撃を後方で見守りながら、気が付いたことがあればバットを構えてアドバイスを送り、選手が円陣を組めばその中心でバットのグリップ部分を使って地面に絵を描いて説明していた。バットは選手とコミュニケーションを取る際の、重要なアイテムとなっているようだ。 歯に衣着せぬ物言いとは裏腹に、その指導は優しい。グラウンドでは選手らの笑い声が聞こえ、選手を怒鳴るような場面はまったく見られなかった。金本監督も「若い選手を怒ったことは一度もない」と語る。「若い選手の失敗はしょうがないと思っている。もちろん、できる選手が怠慢プレーをしたり、集中力を欠いて何度も同じミスをしたりした場合は怒りますが、僕は萎縮させるより、できるだけ勢いをつけさせたいタイプ。選手には伸び伸びやらせたいので、ミスに対して怒鳴るようなことはしません」 キャンプ中にはドラフト1位の大山悠輔にも、バットを構えながらアドバイスを送るシーンが見られた。大山のことを聞くと、指揮官の頬が緩んだ。「アマチュアには左バッターが多く、右バッターで大きいのが打てる選手がいない。それを大山に期待しています。他球団に2位で指名されるぐらいなら1位でいこうというので指名した。まだまだ力はついていませんが、実戦向きの選手だと思う。いいポイントで打っているから、慣れてくればいいものが出てくるはずです。将来的にはクリーンアップを形成できる、ホームランが打てる選手に育てたい」 そうやって1か月間、選手を見てきた金本監督は、今年の沖縄キャンプを「80点」と採点した。「若い選手の底上げが少しずつできつつあるかなと思う。野手でいえば高山(俊)、北條(史也)、中谷(将大)が目立ったし、投手でいえば青柳(晃洋)や新人の小野(泰己)が大きい。戦力になってくれそうな感じがします。 その一方で、いざ実戦をやってみると内野の守備エラーやスローイングミスといったものも少なくない。外野の中継ミスもあるかな。守りというのは100%に近い状態に持っていかないと勝負になりません。あとは開幕までに(実戦を通じて)修正していくしかない」 中でも5年目の北條は、ベテランの鳥谷敬とショートの定位置を争っている。北條は金本監督の指導の下、精力的に筋力トレーニングに取り組み、昨年より体重を5キロ増やしてパワーアップ。2月25日には1983年のバース以来となる、オープン戦初戦で2本塁打を記録している。一方の鳥谷はサードかセカンドへのコンバートが濃厚とされたが、キャンプ前に、「ショートで勝負したい」と金本監督に直訴。意地を見せた。「鳥谷の年齢的なもの、北條の成長を見て開幕までに判断しようと思っています。どちらも力のある選手なので、競争といえば競争だが、チーム構成のこともある。将来を考えて北條も育てないといけないですからね」 こうしたベテランと若手のバランスも課題の一つだ。野手では39歳の福留孝介に、オリックスからFAで獲得した35歳の糸井嘉男。投手陣ではエースの能見篤史が37歳、藤川球児は36歳になった。「若手も育てないといけないが、戦力的に考えるとどうしてもベテランの力が必要となってくる。ただ言葉は悪いが、こちらはベテランに構っている暇はない。言わなくてもやる選手ばかりだから開幕に間に合ってくれればいい。糸井には打つ方も、走る方も、守る方も全部やってもらいたい。正直な話、彼の打順は迷っています」 チーム作りはまだまだこれから──金本監督は繰り返す。指導者として目指す監督像があるのかを聞くと、「これまで仕えた監督のいいとこ取りをしたい」と、具体的な名前は出なかった。「名監督とは勝つ監督のこと。そのためには勝てる戦力が必要。今の阪神は過渡期にあり、入れ替わりの時期です。補強、補強で強くするのが手っ取り早いが、そればかりすると本来の目的を見失うことになり、育成をやめたのかといわれますからね。プロの世界だから育成しながら要所は補強する。そのバランスが重要だと思っています」 阪神の今年のスローガンは「挑む」。常に相手に立ち向かってチャレンジするという意味が込められている。「もちろん(昨年のスローガンの)超変革を卒業というつもりはまったくない。ウチはBクラスで、弱いですから」 鉄人監督の2年目が始まる。●かねもと・ともあき/1968年生まれ。広島県出身。1992年広島入団。走攻守三拍子揃った選手として、2000年には史上7人目のトリプルスリーを達成。2003年にFAで阪神に移籍。18年ぶりのリーグ優勝に貢献し、2008年には2000本安打を達成した。左膝半月板損傷や右肩棘上筋部分断裂などの大怪我を負いながらも試合出場を続け、連続イニング(1万3686イニング)・連続試合フルイニング出場数(1492試合)の世界記録を達成。その後も連続試合出場記録は1766試合まで続いた。2012年に現役を引退。野球評論家を経て、2016年、阪神タイガースの監督に就任した。◆撮影/藤岡雅樹  ◆取材・文/鵜飼克郎※週刊ポスト2017年4月7日号
2017.03.29 07:00
週刊ポスト

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