地元の広報担当者に同じ移民国家であるアメリカとの違いを聞くと、こんな答えが返ってきた。

「アメリカに来た人たちは、みんな一刻も早く“アメリカ人になろう”とする。社会がアメリカ人であることを要求するからだ。しかし、カナダは“カナダ人になる”必要がない。それぞれの国の人のままでかまわない。だから精神的にものすごく楽で、居心地が良い」

 これは一面で真実であり、カナダの素晴らしさである。実際、バンクーバー都市圏の人口約270万人のうち、中国人が約50万人、インド人が約20万人もいる。

 考えてみれば、世界には個人にカネがあっても自由のない国がたくさんある。中国の金持ちは1兆円持っていても自由に使えない。ロシアはプーチン大統領自身が海外資産を凍結されている。中東の富豪も国内に自由はない。

 そんな中でカナダには自由があり、広大な土地があり、チャンスがある。専門的なスキルを持っていたり、カナダで熟練を要する職業の経験が1年以上あって公用語(英語かフランス語)の十分な能力を有していたりすれば、永住権(国籍)も取得できる。だから世界中から優秀な人材と富が集まるのだ。つまり「自由」が人・モノ・カネをもたらすのである。これが21世紀の繁栄の方程式だ。

 ところが、日本の政府はそうした世界の現実から目をそむけ、移民を認めないなど(実際には2016年末現在の在留外国人数は238万人余りに達し、過去最高になっている)制度が閉鎖的で、海外から人・モノ・カネが集まらない。「教育無償化」や「人づくり革命」などという日本人のみを対象とした内向きで無意味な政策ばかり打ち出している。それこそ「国難」にほかならない、と痛感した視察旅行だった。

※週刊ポスト2017年11月10日号

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