「伊勢神宮だけでなく、全国の神社で神嘗祭奉祝祭が斎行される、年間を通じて非常に重要な時期に提訴が行われたことは、極めて遺憾であります」(本庁秘書部)
一方、クーデターの当事者とされているB氏は熱田神宮を通じて、「一切お話しするつもりはない」と回答。懲戒解雇された稲氏は電話で取材に応じた。
「明らかに私に対する不当解雇であり、いち早く仕事に戻りたいので、提訴に踏み切りました。私がやったのは、不動産の不正売買を隠蔽しようとする人々に現状を知ってほしく、告発文を作って役員に渡しただけ。怪文書騒動には一切関与していません」
──宿舎の売買に本庁上層部と不動産会社の癒着があると主張しているが、確たる証拠はあるのか。
「具体的な証拠はないのですが、総合的に判断した限り、私自身は間違いないことだと思っています」
──今回の内部告発の本質は、本庁の田中総長とB氏の権力闘争であり、総長になれなかったB氏一派が田中降ろしのためにクーデターを仕組んだという声もあるが。
「私自身、トップの田中総長が不正に関与しているという確信があり、Bさんとはこの問題について何度も話し合ってきました。しかし、権力闘争や派閥争いはまったく関係ありません。目的は神社本庁の不正を暴くという一点のみです」
──黒田清子さんが祭主として初めて臨まれる伊勢神宮の神嘗祭に、水を差したという声も出ている。
「なるべく早く提訴したいと思っていた中で、たまたまこの日になりました。17日は、内宮の大事な儀式である『奉幣の儀』が午後1時に終わります。午前中だといかにもアレなので、午後からであれば、と…」
──初公判の日程は。
「今、調整中です。11月終わりか12月初めになるかと思います。私は職場に戻りたいし、戻らなければならない」
真実がどちらにあるにせよ、組織がこの状態では、全国の神霊も心安まるまい。
※女性セブン2017年11月23日号