パリの映画祭でも好評を博した 映画『全員死刑』より
──通訳の方には、普通とは違うティーチインにすることは伝えてあったのですか?
小林:あらかじめ話していました。ティーチインは上映後の予定でしたので、ただ事ではないものを観た、という気持ちになって帰ってもらいたいと考えました。そして思いついたのが、劇中と同じ殺人のパフォーマンスです。それを通訳さんに話したら笑ってくれたので、人に話してウケたアイデアなら絶対にやりたいと決意を固めました。パフォーマンスの相手をしてくれと呼びかけて、壇上に誰も上がってくれない場合は来ざるを得ない状況を作るしかない。それはズボンを脱ぐことだと考えていました。
──通訳さんは止めなかったんですか?
小林:ただ「わかりました」とだけ(笑)
──映画祭の運営側には伝えていなかったのでしょうか?
小林:何かしますとだけ話していました。そうしたら「わかりました」と言ってくれて、とくに確かめるようなことは聞かれませんでした。
──実際にティーチインが始まってからの反応はどうでしたか?
小林:劇中と同じ、タオルで首を絞めるパフォーマンスをこれからしたい、と壇上で言ったら、客席はどよめきましたね。誰も壇上に来ないならズボンを脱ぐと宣言したら、おお?! とさらにざわめきました。やれんのか? と面白がるような、観客と自分の間に流れる雰囲気が、挑戦するようなものに変わっていきました。この勝負に負けるわけにはいかないとズボンを脱いだら、パフォーマンスに参加してくれる人も何人か出てきて、すごく盛り上がりました。笑ってくれている人もけっこういて、楽しんでもらえたのが嬉しかったですね。
──日本でもその様子は写真付きで報じられましたが、あまり非難されなかったですね。
小林:ネットで暴れている人たちの誰も、かかってきてくれなかったですね。炎上したかったのに。