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2017.11.14 16:00  NEWSポストセブン

「#自殺希望」が癒やしとなって生きられた女性の告白

「死にたい」とつぶやけなくなることの方が怖い

 座間9遺体事件では、被害に遭った女性たちのSNSでの「死にたい」というつぶやきに、白石隆浩容疑者がつけこんだことに注目が集まった。これを受け、再発防止を目的として政府がSNS、とくにツイッターの規制を検討していると報じられると、ネットでは「地下に潜るだけでかえって悪質化する」など反発が起きている。そして、「死にたい」とつぶやく当事者たちからも「癒やしの場所を奪わないで欲しい」という声があがっている。ライターの森鷹久氏が、SNSでの「#自殺希望」が癒やしとなっている現実を聞いた。

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 神奈川県座間市のアパートで男女9名の遺体が見つかった事件は、すべての被害者の身元が判明し、それぞれの足取りもなんとくではあるが、解明されつつある。とくに世間を驚かせているのは、容疑者の「楽して金が欲しかった」という短絡、そして身勝手すぎる供述と、被害者らが自殺を希望し、ツイッターで「死にたい」「一緒に死ぬ人を探している」という書き込みを繰り返していたという事実だ。

 ほとんどのマスコミが「被害者に自殺願望があった」と報じる一方で、容疑者は「被害者に本当に死にたい人はいなかった」と供述するなど、被害者の心情と被疑者の動機の矛盾が様々な議論のもととなっている。この事件をうけて、SNSへの監視を強化するといった政府の方針も発表されるなど、騒動は落ち着く気配を見せない。

 かつて「自殺希望」のSNSアカウントを複数所有し、実際に自殺未遂の経験もある会社員女性・益子さん(仮名・28歳)は、「#自殺希望」のつぶやきこそ、自身が生き抜くための手段であり、何より、日々の暮らしの中での「癒し」そのものだったと述懐する。

 ツイッターやインスタグラムなどのSNSでは、ハッシュタグ「#」にスペース(空き)なしで言葉を続けると、同じ言葉がついた「#」つきの投稿を参照できる機能がある。その機能を利用すると「#自殺希望」というタグがついたメッセージを簡単に一覧できるのだ。そこでコミュニティが生まれ、掲示板などへ誘導されることもある。益子さんは、その機能を利用して、「#自殺希望」というタグがついたつぶやきを検索して読んだり、投稿したりしていた。

「自殺志願者が集まる掲示板に毎日アクセスし、そこでいろんなやり取りをしました。出だしは”死にたい”から始まり、今日は何があったなどの雑談、愚痴や不満を言い合います。薬を何錠のんだとか、手首を切ったという話も多く、みんなに共通していたのは、現実世界に嫌気がさしたという”厭世観”だったと思います」(益子さん)

 益子さんによれば、この”厭世観”を端的に発することが出来るのが”死にたい”というキーワードだった。”死にたい”と書き込んだりつぶやく人々の周りには、ごく自然に同じように悩みを持った”死にたい”という人々が集まった。お互いの顔も知らなければ、年齢も住んでいる場所さえ知らない、モニタやスマホの向こう側にいる誰かでも、”死にたい”と吐露し合える人は仲間であり、確かに友人だったという。

「死にたいとつぶやくことが、本当に死にたいというわけではない。もうどうしようもないから後は死ぬしかない、でもどうにかなるなら死にたくないし生きていたい、という思い。これは、自殺希望アカウントの中の人に共通する気持ちではないかと思います。それをわかっているから、私たちは自殺志願者同士で集い、相談したり、癒しあったりする」(益子さん)

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