国内

山形・かみのやま温泉駅の共同浴場 2階休憩所でひと休みも

最も歴史の古い「下大湯」は沢庵禅師も入浴した湯

“乗り鉄”で全国津々浦々の温泉を巡り、60年の人生で巡った温泉は400湯以上という本誌記者・オバ記者が、できれば人に知られたくない名湯・秘湯の一部をこっそりご紹介。今回ご紹介するのは、山形のかみのやま温泉の二日町共同浴場だ。

 * * *
 山形新幹線・かみのやま温泉駅を下車する目的は、ここのお風呂に入って、乗り鉄で痛くなった腰をいたわり、ついでに、誰もいない2階の大広間に座布団を並べて、爆睡すること。思い出せるだけでそれを4回はしている。

 共同浴場はあくまでも地元民のためにある、と心得ている私は、地元の人に話しかけられても、これ以上ない愛想のいい笑顔を向けつつ、言葉は必要最小限度。

“よそ者”であることは誰の目にも明らかだけど、それを明かして、波風を立ててはならぬ、と私は思っている。要するに、大きな身を小さくして入っているわけ。それでも常連さんたちの話を聞けるのが面白いのなんの。

 ここではない、東北のある共同浴場でのこと。飛び交っている言葉が、まったく理解できなかったの。南東北といわれている茨城出身の私なのに、単語1つ1つがわからなかったのが大ショック。

 そこで、湯船の中で体を耳にして聞いていたら、突然、標準語らしき言葉がするーっと入ってきた。

 熱弁をふるっていたオバちゃんが、いきなり若い女の口調になって、それが、嫁が姑である自分に向かって吐いた失礼な言葉とわかったときは、心の中で小躍りしたもんね。

 いつもいつもこういうドラマが待っているわけではないけれど、それでも、どこで何をしたという地元の人の話はいつも新鮮でわくわくする。

 もっと言えば、人様の庭先のようなお風呂で裸になる心細さにヒリヒリすること。それを私は、「旅情」と思っているんだよね。

※女性セブン2017年11月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン