占冠(しむかっぷ)村にある総合リゾート施設「星野リゾートトマム」は、1000haを超える敷地に巨大タワーホテルやスキー場などを併設する。
「星野リゾート」という名称から日本企業の経営と思われがちだが、経営主体は2015年秋に同施設を買収した中国系企業で、「星野リゾート」は管理を行うのみだ。最近、同リゾートを訪れた知人によると、当地には中国人の利用客が大挙して押しかけ、場内アナウンスにも中国語が。知人は、「正直、ここはどこの国かと驚いた」と語った。
他にも赤井川村では2016年にシンガポール系企業が270ha(東京ドーム58個分)のキャンプ場を買収し、現在も周辺を買い増す。また登別市上登別町では中国風テーマパークの跡地70 haを中国系企業が買収して太陽光パネル設置を進める。彼らはエネルギーにも触手を伸ばしているのだ。
中国系資本による土地買収にはパターンがある。最初に「リゾート地をつくる」「医療ツーリズムの拠点にする」などの壮大な計画をぶち上げる。財政難の自治体が賛成した途端に買収交渉を進める。だが、最初の構想は一向に実現しない。
では何のために膨大な日本の領土を手に入れているのか。
中国が買った土地には共通点がある。ほとんどが周囲を自然に囲まれて中の様子がわからない土地だ。出入りする場所が限られるため、出入口さえ封鎖すれば、外部からの干渉が難しくなる。
しかもゴルフ場やキャンプ場はすでに土地が整備されていて水源が豊富にあり、開墾せずとも宅地や農地に転用できる。つまり、いつでも“自己完結型の自治区”となりうるのだ。