”サラ川”に匹敵する傑作がずらり
〈指一本 スマホと俺を つかう妻〉
〈俺は内 豆を撒きたい 鬼嫁に〉
〈正月は 子供見るたび 財布泣く〉
妻や子供の顔色を窺う情けない父親の顔である。さらに、ヤクザの高齢化を感じさせる自虐ネタも。
〈加齢です 医師の所見の 的確さ〉
〈酒飲んで 出るのは愚痴と 腹ばかり〉
〈深刻は 情報漏れより 尿の漏れ〉
しかしヤクザにはおよそ似つかわしくないこうした川柳が、なぜわざわざ機関紙に掲載されているのか。山口組分裂抗争を取材するライターの鈴木智彦氏が分析する。
「今のヤクザは、暴排法の締め付けや抗争の影響でシノギ(経済活動)も上手くいかないため、同年代と比べて苦しい生活をしている人が多い。さらに子どもにヤクザを継がせない家庭も増えているため、親族から理解を得られない家庭もある。こうした厳しい現状を分かち合うために掲載されているのでしょう」
何気ない川柳からも、暴力団衰退の兆候が透けて見える。
※週刊ポスト2017年12月1日号