「戦力外」という悪魔の宣告を受けるプロ野球選手は、事前にある程度は覚悟しているものだ。一度も一軍登板がないまま8シーズンを過ごし、2013年のオフに球団に呼ばれた時には、妻に“戦力外通告を受けるかもしれない”と言って家を出た。
「肩やヒジの痛みが続き、治って投げ始めたと思えば、再発して痛みを1年半ぐらい抱えるということの繰り返し。痛みさえなければ、もっと投げられるのに……痛みさえなければアピールできるのに……。そういう思いを抱えているうち現役生活の“諦め”につながっていった。未練? ありません」
古巣・巨人の本拠地である東京ドームを、女子のプロ野球で満員にするのが、現在の辻内の夢である。
●取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2017年12月8日号