◆社員がオリンピック会場で選手に対して行うケア
〈同社は2014年のソチ大会では日本、アメリカ、フランス、オーストリア、ドイツ、スイスのオフィシャルスポンサーとして五輪代表に商品を提供。2016年のリオ大会では日本、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、中国、台湾の代表チームに商品を提供した〉
――冒頭で「やっぱり五輪」という話が出ましたが、五輪以外のスポーツは対象ではないのでしょうか。
高岡:北京大会以来、五輪に出る選手・出た選手とコーチには契約してもしなくても無償で提供しています。五輪に出ない競技から話があっても基本的には提供しません。五輪に出る競技の選手だからこそ、使ってもらうことに意味があるのです。そこはルール作りをしていますし、当初から方針は変わっていません。
宮島佑依氏(同社東京2020オリンピック・パラリンピック推進プロジェクト):選手の皆様に興味を持っていただけたというのもありますね。今回契約した小平奈緒さんは、先輩のスケート選手にどんな寝具が良いかを相談したところ『高反発がいいよ』とのアドバイスを受け、調べたところ弊社がヒットし、お声がけいただきました。小平さんご本人にご興味を示していただき、商品を使いたいと当社に話が入ったのです。これまで、トレーニングも変えたし、食事も変えた――さて何をやればもっとタイムが縮まるか、とお考えになったそうです。そんな中、最後に残った課題が「睡眠」だと気付き、睡眠を最高の状態にしたい、ということでご興味を持ってくださいました。
――「サポート」と言いますが、実際に何をするのですか? また、企業はどのように契約選手を企業活動に起用できるのでしょうか?
宮島:まず、当然広告活動で契約した選手――。今回の場合は高梨さんと小平さんになりますが、その肖像権を広告・広報活動で使わせていただくことになります。
高岡:ただ、肖像権において複雑なのが、連盟や協会と個々の選手の関係です。スキーであれば「板」とか、水泳であれば「水着」など、選手のパフォーマンスに直接影響する商品ってのは連盟や協会が一社の商品を一括で契約するってことはあまりありません。個々の選手が使いたい用具ってのがありますからね。元々、高梨さんに関しては、エアウィーヴのマットレスを使っていただいていました。その時は「寝具がパフォーマンスに影響する」なんてことを誰もが思っていなかったのです。
実際は大いに影響するんですよ。それはスタンフォードの研究などでも明らかになっているのですね。そんな中、高梨さんはご自身の使用される道具一つ一つに非常にこだわりを持たれており、当社と高梨さん「個人」としての契約はうまくいったという背景があります。
宮島:肖像権については、そのようになっていますが、平昌五輪開催中、私も平昌現地へ行きます。もしかしたら現地のベッドと当社のマットレスパッドが合わないかもしれませんし、その日のコンディションによって、マットレスが柔らか過ぎるように感じたり、硬すぎると感じるかもしれません。良い睡眠を取れるかどうかがそれこそメダルの色にも影響するので、バックアップをいくつか持って行き、交換できるような体制を取る予定です。また、睡眠に対するカウンセリング体制も整え、高梨さん・小平さんをはじめ、選手の皆様をサポートさせていただければ、と考えています。
高岡:五輪の選手ってのは一番「こだわる」人なんですよね。五輪の選手を応援しない人はいないのではないでしょうか。そんな選手に最高のパフォーマンスをしていただきたいからこそ私達も実際寝具でサポートしているという事実をちゃんと示したい。素晴らしい肉体と研ぎ澄まされた感性。「寝具」ってのはもっともスポンサーとして正当性のあるサポートができる分野かなと思います。選手が五輪期間中、一番接触しているのは弊社の商品ですからね。そういった意味では、関わることができてスポンサー冥利に尽きます。