「友達とケンカをしたり、いたずらをすることもありましたが、悪いことをしたときには、必ず私が厳しく叱りました。今から思えば、殴りすぎたかなと反省するくらいに手を上げましたが、結果的に、曲がらずに育ってくれました」と父親がベースボール・マガジン社『相撲』に語っている。その育てられ方は相撲界に入ってから役立ったに違いない。

 悪いことをすれば殴られると理解できている。時に理不尽に殴られても慣れていて逃げたいという発想には向かわない。ボコボコに殴られながらもそのこぶしには愛情があると感じられたから、英樹少年は竹村氏の言う親孝行の最短コースを信じることにした。

 そして竹村氏は父親に会って、この真っすぐな人の息子ならば相撲界の厳しさにも決して折れない、と確信して寄り切った(若の富士にはもう来るなと塩をまかれ大富士にはゴミ箱に隠れられて手を焼いたことを思えば、本人が前向きなだけ楽だったろう)。

 英樹少年は竹村氏に多摩川の河原に連れていかれ、四股を教わった。一年半後中学を卒業し九重部屋から初土俵(その後元横綱北勝海の八角部屋発足に伴い移籍)。地方場所の宿舎にも竹村氏から毎日叱咤激励の電話がかかってきた。繰り返される「思い切って行け」の言葉。そして九年後の二〇〇二年、見事十両に昇進。スーパースカウトマンの「必ず」に間違いはなかった。

 しかし大銀杏を結った晴れ姿を最も喜んでくれるはずのその人は半年前に亡くなっていた。「英樹が関取になるまでは死ぬわけにはいかない」と最期までつぶやいていたという。

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