これらの指摘に前出の関さんはこう反論する。
「“平成世代”と呼ばれる若い役者さんたちは新しいことに挑戦しつつも常に古典作品のことを意識しています。新作歌舞伎が成功するのも、彼らが古典をしっかり勉強してきて引き出しがあるからこそと感じますし、お客さんの層を広げるため、役者としての可能性を広げるためなど、彼らが新作に挑戦するのには確固たる目的があると思います」
まさに転換期を迎えている歌舞伎界。『歌舞伎 家と血と藝』(講談社)の著者である中川右介氏は「今こそ歌舞伎を見るべき」と力を込める。
「世代交代という『縦の物語』と、海老蔵による大改革という『横の物語』が交わるのが現在の歌舞伎の世界です。大御所の総仕上げ、円熟味を増す海老蔵世代、平成世代の台頭、孫世代のデビュー。すべてが同時に楽しめるのはこのタイミングだけ。今、劇場に行けば、歌舞伎の現在・過去・未来をすべて見ることができるんです」
伝統と革新が織り成す歌舞伎界は新時代を迎える──。
※女性セブン2018年1月18・25日号