芸能

立川こしらは遊びとオリジナル演出の匙加減が絶妙な異端児

立川こしらの異端児ぶりとは

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、師匠の立川志らくから「ふざけるにもほどがあるが、ふざけないよりまし」と言われた、立川こしらの異端児ぶりについてお届けする。

 * * *
 立川流きっての爆笑派、立川こしら。彼が「落語を題材に遊ぶ」ホームグラウンドが、毎月お江戸日本橋亭で開かれる独演会「こしらの集い」だ。

「集い」というだけあって普通の落語会とはだいぶ趣が異なる。たとえば2017年11月の「集い」では高座に上がると、まずはフォークリフトの免許を取りに行った体験談だけで40分間、笑わせっぱなし。常連客にとって、ある意味このトークこそ「集い」の真骨頂だ。

 その日の落語は『粗忽長屋』『粗忽長屋の続き』『宮戸川(通し)』の3席。『粗忽長屋』は八五郎が女房連れで登場、この女房が八五郎に輪をかけた粗忽者という異色の設定。バカップルが主役という発想が凄い。『粗忽長屋の続き』は、その八五郎が石川五右衛門を生け捕りにするのが自分の使命と思い込んで旅に出るバカバカしい噺。たぶんこの日限りで二度とやらない(笑)。

『宮戸川』はお花と半七が男女の仲になる前半で切るのが普通で、後半は非常に陰惨、最後は○○オチに至る噺だが、こしらの意表を突いたドンデン返しの鮮やかさは落語史上に類を見ない。まさか『宮戸川』の「通し」でこんなに笑わせるとは!

 12月は、こしら版『元犬』(元犬のシロが奉公に行った家の女中のおもとが元は猫だった、という改作)を演じた後、その続編として『化け猫長屋』という二部構成の長編スペクタクル落語を披露した。これは毎年恒例の「リクエスト落語」で、予めリクエストされた様々な古典の演目の要素を「落語チャンチャカチャン」のように盛り込んだ新作。これもこの日限りの遊びで、いわば常連客に対するファンサービスのようなものだ。

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト