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2018.01.28 07:00  NEWSポストセブン

高齢者の免許返納問題と家族の苦悩 「人が変わった」例も

 千葉県の過疎地域に暮らす兼業農家・浜尾さん(仮名)は、高齢の父とよく相談をした上で、免許を返納させた。それまで長らく、無事故無違反、日常的に軽トラを運転していた父だったが、いつ何が起こるかわからない、と恐ろしくなった上での決断だった。ところが、車に乗らなくなった途端、父は生気が消えたように塞ぎ込み、足腰が弱るだけでなく、嫁や家族に怒鳴り散らすなど、認知症も発症。まさに「人が変わったようになった」と近所でも噂された。

「近所の方からは、私ら夫婦が父をいじめているとか、家に閉じ込めているとか噂されました。父はその後、認知症が悪化し特別老人ホームに入居しましたが、普通の会話もできず、ほぼ寝たきりです。」

 父から免許証を取り上げず、今までのように運転させていれば、ボケることもなかったのかもしれない。しかし、事故を起こされたら、家族だけでなく、他人の生活まで脅かす……。浜尾さんは今も、自身の行動が正しかったのか、葛藤する日々を送る。

「父から日常を取り上げたかもしれないが、父が加害者になる、父のせいで誰かが危険に脅かされる、と考えると、こうするしかなかった。私たちが父の生活を見てあげられるのにも限界がありました。かといって、そんなことを行政に頼っていいのか。寝たきりの父を見ていると涙が出てきます」

 総人口における65歳以上の割合を示す高齢化率は27.3%、75歳以上人口は13.3%まで上昇した。高齢者が活躍する社会、というのであれば、高齢者が自ら移動する手段を取り上げることは、矛盾にも感じられるだろう。しかし、老人が起こした交通事故に巻き込まれた被害者からしてみれば、たまったものではない。我が国の高齢化率は高まる一方であることを考えると、今後同様の事故が増えるに違いない。自動車業界では、急発進抑制など高齢者の運転に適したシステムを導入した車の開発を進めている。建設的な議論、そして法整備がなされることを願う。

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